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事例:D-58

ナットの脱落等,取り付けの不適切なリヤウインカーについて

【整備車両】 
  ZEPHYR (ゼファー) (ZR400C) ZR400-C4  年式:1992年  参考走行距離:約15,500 km
【不具合の状態】 
  リヤウインカーの取り付けが不適切な状態でした.
【点検結果】 
 この車両はお客様のご依頼により破損していたブレーキホースジョイント ※1ガソリン漏れの発生していた燃料コック ※2取り付けが不適切なフロントウインカー ※3 の整備等を実施したものですが,今回は取り付けが不適切なリヤウインカについて記載します.

図1.1 脱落しかけているナット
 図1.1は左側のリヤウインカの様子です.黄色の円で囲んだ部分は,取り付けボルトから緩んで脱落寸前のナットです.この状態では固定が不十分であると言えます.

図1.2 乱雑なリヤ側灯火類の配線
 図1.2はリヤ側の灯火類の配線の様子です.全体的に乱雑な状態でした.フロントウインカーがひどい状態だったことからリリヤ廻りも懸念された為,各部を点検しました.

図1.5 ギボシ被覆からわずかにはみ出している金属部
 図1.5はギボシ加工された配線接続部ですが,雄側が何も絶縁加工されていない為,メスギボシ被覆から金属部がわずかにはみ出している状態でした.幸いこの部位はアース側で電圧はほぼ0Vですが,もしこの部位が電源側であれば短絡する可能性があり非常に危険であると言えます.

図1.4 一見問題ないかに見えるボデーアース接続部
 図1.4はボデーアースされている車体側接続部の様子です.一見何も問題ないかの様に見えますが,フロントウインカの配線の先例もあることから念のため取り外して確認しました.

図1.5 割れているアース端子
 図1.5はボデーアースされているナットを取り外したところ,アース線の端子が割れていました.確かにこの状態でもアース機能は保持されるかもしれませんが,やはりこれでは気分が悪くなるのも無理はありません.


【整備内容】
 リヤウインカをPOSHの新品に交換し,配線も見直しました.またアース端子も新品に交換することにより万全を期しました.

図2.1 新品のアース端子
 図2.1は破損していたアース端子を切断し,新しい端子を配線にカシメて半田付けし,絶縁ゴムで被覆したものです.これにより接触面が増えアース機能が確実になったと言えます.また見た目の美しさを取り戻したことも大切な要素です.

図2.2 正常に取り付けられたボデーアース端子部
 図2.2は新しく取り付けたアース端子をボデーに締め付けた様子です.図1.4と比較すれば,いかに清潔でサッパリした印象に変化したかを理解することができます.

図2.3 加工の完了したリヤ側灯火類の配線
 図2.3は各部をギボシ加工により配線接続した様子です.このままでは煩雑なため,配線をまとめました.

図2.4 整然とまとめられたリヤ側灯火類の配線
 図2.4はブーツを使用してリヤ側灯火類の配線を整然とまとめた様子です.これにより物が引っかかったりすることもなくなり,各灯火に配線されている位置も良く分かるようになりました.

図2.5 スッキリしたリヤウインカ取り付け部
 図2.5は新品のPOSHウインカと,スッキリ整理されたその取り付け部の様子です.見苦しかったリヤウインカ廻りがスッキリしました。


【考察】 
 この車両はフロントウインカの取り付けも不適切でしたが,リヤも同じような状態であったため,フロントと同じくPOSHの新品に交換して配線を見直しました.配線は作業者の質が良く表れる部位です.正確・確実に美しく処理しなければなりません.
 今回の事例ではボデーアースの端子が破損していました.これも実際に取り外してみて初めて分かったことですが,やはり過去の整備歴が不明な車種は疑うことを前提としてしっかり整備しておきたいものです.フロントウインカーの事例でもそうですが,ネイキッドタイプの車両であればウインカー取り付け部にも気を遣いたいものであり,内側のちょっとした部位にも配慮して部品の取り付けを行うことが大切であると言えます.


※1 社外ブレーキホースカシメ部の亀裂と液漏れの危険性について
※2 経年劣化した燃料コックからのガソリン漏れについて
※3 よじりや針金の使用によるウインカー配線接続と切断されたポジションランプ電源について





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