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事例:S-108

社外ブレーキホースカシメ部の亀裂と液漏れの危険性について

【整備車両】 
 ZEPHYR (ゼファー) (ZR400C) ZR400-C4  年式:1992年  参考走行距離:約15,500 km
【不具合の状態】 
 社外ブレーキホースのカシメ部に亀裂が入っていました.
【点検結果】 
 この車両はリザーバタンクからブレーキフルードが漏れているということでメガスピードにて整備を承ったものです.燃料コックからガソリンが漏れている ※1 等の不具合もありましたが,今回の事例ではリザーバタンクからの液漏れと同時に発生していたブレーキホースカシメ部の亀裂について記載します.

図1.1 亀裂の入っているホースカシメ部
 図1.1はホースのカシメ部に亀裂が入っている様子です.赤色楕円で囲んだ部位が亀裂発生個所で,完全に縦に割れていることが分かります.発見した時点で液漏れは発生していませんでしたが,このままではごく近い将来液漏れを発生させる危険性があります.またアダプタの位相がずれていて整然としているとは言い難い状態でした.

図1.2 結束バンドで縛られたホース
 図1.2は2本のホースを結束バンドで無理に縛り付けている様子です.この状態では2本のホース同士が干渉して擦れるだけでなく,見た目が非常に汚く,品がない印象を受けます.


【整備内容】
 
破損していたブレーキホースを含めて2本とも新品のSWAGE-LINEに交換しました.

図2.1 新品SWAGE-LINEホースおよびボルト
 図2.1は新品のSWAGE-LINE(PLOT)のホースおよびボルトの様子です.これを使用することによりブレーキ液漏れの不安が解消され,純正のホースを上回るフィーリングが得られることが期待できます.

図2.2 車体に取り付けられた新品のSWAGE-LINE
 図2.2は新品のSWAGE-LINEを組み立て,車体に組み付けた様子です.2本のホースが並行してそろえて接続されることにより非常に美しく見えます.

図2.3 車体に取り付けられた新品のSWAGE-LINE
 図2.3はライダーがバイクに跨った状態でブレーキホースを見た様子です.やはり2本が規則正しく並ぶことにより非常に美しい配列を目で楽しむことができます.

図2.4 クランプされた2本のホース
 図2.4は新品のホースホルダをホースに取り付けた様子です.隙間が確保されホース同士が干渉することを防ぎ,かつ動きが制限されることにより車体との干渉も回避することが可能になりました.


【考察】 
 今回の事例においてポイントは2つあります.1つ目はカシメ部の亀裂による液漏れの危険性,そして2つ目は2本のブレーキホースの配置です.
 まずカシメ部に亀裂が入っていたことについては,通常の使用ではあまり例がない為,ねじを締め過ぎたか,何かにぶつけたか,といった外的要因が現象の原因であったと考えられます.そして発生理由は何であれ,このままの状態ではカシメ部から液漏れが発生する可能性が高い為,今回はPLOT製のSWAGE-LINEを使用しました.
 次にホースの配置ですが,もともとついていた社外ホースは位相がズレて取り付けられていました.もちろんこの取り付け方でも性能には全く影響しませんが,スマートであるとは言い難い状態であると判断されても仕方のないことです.したがって,今回は位相をずらさずに2本のホースを並行して取り付けました.その結果非常に見た目が美しくなりました.ブレーキに関しては性能が一番であることは言うまでもないことですが,その性能が同じであるとしたら,やはり見栄えにも気を遣いたいものです.
 そしてお預かりした状態では結束バンドにより2本がくっつけられていましたが,これでは仕上がりが貧相になることは避けられません.今回の事例ではホースセパレータを取り付け,2本のホースが干渉することもなく,美しくまとめることができました.ホース本体の美しさだけでなく,そのまとめ方ひとつでも,上質な仕上がりができることを示した事例であると言えます.


※1 経年劣化した燃料コックからのガソリン漏れについて





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