トップページ故障や不具合の修理事例【二輪自動車】 エンジン関係の故障、不具合、修理、整備の事例 (事例:201~210)


事例:E-210

経年劣化したオイルタンク関連部品の手入れについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500km
【不具合の状態】 
 吹け上がりが悪く,走行中に1番と3番サイレンサから黒くなったオイルが噴き出す状態でした.
【点検結果】 
 この車両は他店で購入された直後にメガスピードにて不具合の修理を承ったものです.先方でキャブレータのオーバーホールを実施したということですが,状況や主要部の点検結果から不十分であると判断し,当社で細部までオーバーホール【overhaul】(分解整備・精密検査)し直しました.
 今回の事例では劣化したオイルタンク周囲の手入れについて記載します.

図1.1 劣化したヒートシールド接着テープ
 図1.1はオイルアウトレットに取り付けられている劣化したヒートシールドを取り外した様子です.タンクが熱変形していないことからシールド本体の性能は最低限確保されていると見ることができますが,接着テープが劣化していました.これは近い将来シールドの脱落 ※1 につながることから,タンクを守る為には新品に交換される必要があります.またアウトレット本体もゴムであり,過去の整備記録がない限り劣化していると考えるのが自然です.またオイルホースが抜けかけている ※2 ことが分かります.

図2.1 堆積物の除去されたジェットシート取付部
 図1.2はマッドガードとそのブラケットの様子です.ともに経年劣化していました.泥除けとしての機能は問題ないと言えますが,今回オイルタンクの整備を実施したことから,同時に対処しました.


【整備内容】
 ヒートシールドをすべて新品に交換し,ゴムであるアウトレットやオイルホースも新品に交換し適切に取り付けました.またマッドガードブラケットを塗装することにより錆の防止を図りました.

図2.1 塗装されたブラケットと洗浄されたマッドガード
 図2.1はブラケットを塗装し,マッドガードを洗浄した様子です.車体に取り付けてしまえば外部からのぞき込まない限りは見えない部位ですが,部品が美しさを取り戻すのは所有する立場になれば非常に嬉しいものです.

図2.2 整備の完了したオイルタンク
 図2.2は整備の完了したオイルタンクの様子です.ブラケットを取り付けるスクリュ等も新品にしました.ヒートシールドが新品になったことにより,性能以上に見た目の美しさが際立ちます.2サイクルエンジンにとってオイル廻りの整備は非常に大切です.特にRG400Γにおいてオイルタンクの設置位置が2本のアッパチャンバに挟まれていることからも,耐熱処理はとても重要です.


【考察】 
 2サイクルエンジンにとってオイル廻りの整備は非常に大切です.特にRG400Γにおいてオイルタンクの設置位置が2本のアッパチャンバに挟まれていることから耐熱処理はとても重要です.オイルタンク本体はすでに絶版になってしまっていることからも,材料が樹脂であることを考慮して,熱で変形しないよう定期的なヒートシールドの交換が求められると言えます.


※1 劣化により脱落したヒートシールドと排気熱の影響を受けやすくなったオイルタンクについて
※2 差し込みの不十分なオイルホースについて





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