2サイクルエンジンのオイルポンプ吐出量の測定について(原動機の型式:J206) |
【整備車両】
RGV250M (VJ22A) RGV250(ガンマ) 推定年式:1991年 参考走行距離:約15,500km |
【不具合の状態】
高速道路を走行し始め30km程度走行した付近でエンジンが焼き付き停止しました. |
【点検結果】
この事例の車両はお客様が他店で購入され,高速道路を走行し始め,30km付近でエンジンが停止したものです.
購入先の販売店で保証の範囲で点検したところ,フロントバンクすなわち2番シリンダのピストンが損傷していた為,
ピストンのみ中古品に交換したということです.
走行できる状態になったことから,念の為セカンドオピニオンとしてメガスピードに整備のご依頼があり,点検を承りました.
お客様のご自宅から当社まで自走で来られましたが,
その間にオーバーヒートを起こし,水温が高い為5,000rpm~6,000rpmの中回転で持ち込まれました(※1).
この車両の最も根幹とされる整備の主軸はエンジンの焼き付きの原因を探り,再発を防止することです.
エンジンの焼き付きには,2サイクルエンジンの場合,
1) 2サイクルエンジンオイル切れによる金属同士の焼き付き
2) オーバーヒートによる金属同士の焼き付き
3) 不適切な空燃比による異常燃焼
の大きく分けて3つの原因が考えられます.
今回は(1)のオイル切れによる金属同士の焼き付きと(2)のオーバーヒートによる金属同士の焼き付きのについて,
点検整備のご依頼を承り,(3)については後日燃料漏れによるエンジン始動不可の状態が発生した為(※2),
キャブレータオーバーホール【overhaul】(分解整備・精密検査)を実施しました.
この事例では(1)の2サイクルエンジンオイルについて記載します.
オイル廻りの整備一式を承ったなかで,オイルラインのホースの状態の点検や,
オイルポンプの調整,オイルポンプの吐出量測定を行いました.
目的は,焼き付きを回避する為現在オイルポンプの吐出性能がどのくらいあるかを把握しておくことと,
それによるオイルの吐出量に合わせたオイルワイヤの引き具合,
すなわちオイルポンプのレバー開度調整の目安を見極めること,
そしてエンジンの焼き付きの原因がオイル廻りの不具合であったか見極め再発防止を図ることです.
| |