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事例:S-115

シフトペダル・アジャストロッド固定ナットの緩みとシフトフィーリングの悪化について

【整備車両】 
 ZRX (ZR400E) ZR400E-2  年式:1995年  参考走行距離:約20,800 km
【不具合の状態】 
 シフトペダルのロッドアジャストナットが緩んで外れている状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードにて継続検査(車検)のご依頼を承ったものです.フロントブレーキを握った際にストップランプが点灯しない ※1 不具合や,燃料コックからガソリン漏れが発生していた ※2 等の様々な不具合が発生していましたが,今回の事例ではシフトペダルのアジャストロッドのナットが外れていたことについて記載します.

図1.1 ナットの外れているシフトペダルアジャストロッド
 図1.1はシフトペダルを点検した際に確認した,アジャストロッドのナットが外れている様子です.黄色の矢印で示したものがナットですが,本来は右端になければなりませんが,緩んで回転し,ネジ溝左端近くまで外れていました.左のエンジン側のナットは締まっていた為,直ちにロッドが緩んで脱落するなどという事態にはなりませんが,ここまで外れてしまったナットは看過できません.
 メガスピードで定期点検を実施する際にはこの部位をよく見ておきますが,このナットが緩んで外れている場合が多々あるのが実情です.やはり正確なシフトチェンジをする為にもリンク機構は確実にビシッと“決まっている”必要があり,わずかな位置のズレや緩み,変形などがシフトチェンジのフィーリングを悪化させることになります.


【整備内容】
 外れていたナットをしっかり締め付け,同時に金属部を磨きました.

図2.1 正確に取り付けられたアジャストロッド固定ナット
 図2.1はアジャストロッド固定ナットを正確に締め付けた様子です.体感できる程の変化をもたらしたかどうかの判断は難しいですが,性能的には左側のみで固定されていたロッドが右側も固定されることにより,ねじれに対して強くなったと言え,その分ダイレクト感が戻ったことになります.また金属部がくすんでいた為,磨き上げました.


【考察】 
 シフトリンク機構が長くなるバックステップを装着した場合と,純正のシフトとを比較すれば容易に体感できますが,純正の方がカチッカチッとしっかりシフトできる場合が多く,シフトフィーリングは純正に軍配が上がると言えます.それはロッドの長さをはじめ機械的な構造を見れば,乗るまでもなく明らかです.ですから一概にバックステップが良いと言うわけではないのです.しかしその純正シフトの小気味良さもナットやリンク機構がしっかり整備されていてこそ味わえるものです.したがって,少なくとも車検の際には必ず点検すべき項目であると言え,緩んでいる車両が多いことからも,環境的に厳しい部品であると捉えることができます.乗るたびに毎回カチャカチャやられたのでは,締め付け不良のものはすぐに緩んで外れてくるわけです.
 車検は24か月定期点検が前提にあります.その際にこの様な部位を正確かつ確実に整備することにより,その後2年のバイクライフが充実したものになると断言できます.


※1 ブレーキスイッチ接続端子の隙間拡大によるフロントブレーキランプの点灯不良について
※2 燃料コックからのガソリン漏れと車検時の点検整備について





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