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事例:E-227

燃料コック負圧ホースの潰れと亀裂の発生について

【整備車両】 
  LS650 (NP41A) Savage  年式:1986年  参考走行距離:約27,700 km
【点検結果】 
 この車両は半年前に他店でお客様が購入されたものです.メガスピードで改めて法定2年定期点検を実施した際にバッテリ液の不足等いくつか不具合を発見しました.お客様のご依頼によりサイドウォールに亀裂の発生しているリヤタイヤ
※1 の交換も実施しましたが,今回の事例ではその際に発見した負圧ホースの不具合について記載します.

図1.1 亀裂の発生している負圧ホース
 図1.1は燃料コック側の負圧ホースの様子です.黄色の楕円で囲んだ部分に2か所亀裂が発生していました.また擦れ防止スプリングの手前でホースが急激に曲げられている為,大きく潰れていることが確認できます.この状態ではエンジンの負圧が十分にコックに伝わらず,悪化すれば燃料供給不足につながる可能性があります.また亀裂に関しても,進行により内部と外部がつながればエンジンの負圧が大気解放になる為,やはり燃料供給が遮断される恐れがあります.

図1.2 クリップのない負圧ホースキャブレータ
 図1.2はキャブレータ側の負圧ホース取り付け部の様子です.亀裂等は見られませんでしたが,本来あるはずのクリップがなくなっていました.黄色の楕円で囲んだ部位にクリップが取り付けられていなければなりませんが,クリップが取り付けられていた痕跡が見られることから,取り付けミスが発生してからそれほど期間を経ていないと推測されます.


【整備内容】
 古くなっていたホースを新品にすると同時に,擦れ防止スプリングと取り付けクリップもあわせて新品に交換しました.

図2.1 新品の負圧ホース燃料コック側
 図2.1は新品の負圧ホースを燃料コックに取り付けた様子です.曲げ角度を緩くしてホースが潰れるのを回避しました.これによりエンジン側で発生した負圧をロスなくコックに伝達することができるようになりました.

図2.2 新品の負圧ホースキャブレータ側
 図2.2は新品の負圧ホースをキャブレータに取り付けた様子です.付け忘れられていたクリップも確実に取り付けることにより,ホースが抜けて燃料供給が遮断されるという不具合を極力回避できるようになりました.


【考察】 
 ホースは材質がゴムですから必ず劣化します.今回の事例の負圧ホースは燃料タンクを脱着する際には必ず外される部品であることから,取り付け口にはかなりの疲労がたまります.車両の発売が1986年頃であることを考慮すれば,やはり一度しっかり見ておきたい部品のひとつであり,過去の整備歴が不明であれば,乗り始める際にはリフレッシュしておく必要があります.
 またキャブレータ側にクリップがなかったのは明らかに過去に整備した人の取り付けミスであるといえ,これも点検して必ず取り付けておきたい部品であると言えます.
 負圧ホースは燃料供給に影響するだけでなく,亀裂損傷に至れば二次エアの吸い込みが発生して不要なエンジントラブルにつながるおそれがあります.したがって,負圧ホースを使用している車両は定期的に新品に交換しておきたいものです.
 今回の車両はお客様が他店で購入されたものをメガスピードで点検したものです.当社は整備工場ですから点検整備することが社会的使命です.ですので他店で購入されたバイクでも安心して整備をご依頼下さい.


※1 チューブタイヤの交換とリムバンドについて





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