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事例:E-205

差し込みの不適切なSIPCホースについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500 〔km〕
【不具合の状態】 
 1番と3番シリンダが燃焼不良を起こし,加速性能が悪化した状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードで不具合の整備を承る直前に他店で整備されたものですが,各部に不具合が見られた為,それぞれについて整備し直しました.ここではSIPCホースの差し込み不良について記載します.

図1.1 最後まで差し込まれていないSIPCホース
 図1.1は4番キャブレータに取り付けられているSIPCホースの様子です.赤丸で囲んだ部分が接続部ですが,ホースが最後まで差し込まれていないだけでなく,ホースの端が斜めになっていることが分かります.この車両は直前に他店でキャブレータが整備されたということですが,この衝撃的なホースの差し込み具合を見て驚愕せざるを得ません.素人ならまだしも,業者がこのようなことをしてしまっては救いようのない状態であると言っても過言ではありません.しかも4気筒すべてのキャブレータでこの様な状況になっていたことを考えると,“適性”そのものが問われ兼ねません.
 たしかにSIPCホースは非常に差し込みが固く,取付は大変です.しかし,物事は最後までやり切らなければなりません.ホースの切り口が斜めになっているのも,いい加減さを倍増させていると言えます.

図1.2 最後まで差し込まれていないSIPCホース
 図1.2は1番シリンダキャブレータのSIPCホースの取付の様子です.赤丸で囲んだ部分がキャブレータへの接続部ですが,やはり最後までホースが差し込まれていない状態でした.他もすべて同様なので画像は省略しますが,これは非常に憂慮すべき事柄であると言えます.


【整備内容】
 SIPCホースを新品に交換し,適切なクリップで正確にキャブレータに取り付けました.

図2.1 アダプタに正確に取り付けられたSIPCホース
 図2.1は4番シリンダキャブレータのアダプタに新品のSIPCホースを正確に取り付けた様子です.ホースは新品に交換し,端部は長さ方向に対して垂直に切りました.またクリップを新品に交換し,設置部位をアダプタの口元にしました.

図2.2 アダプタに正確に取り付けられたSIPCホース
 図2.2は1番シリンダキャブレータのアダプタに正確にSIPCホースを取り付けた様子です.この部位は1番キャブレータと3番キャブレータに挟まれている為,手が入りづらく且つホース内径が取り付け口に対してかなり小さい為,非常に取り付けし辛い部位であると言えます.特にクリップを設置個所まで移動するのが大変ですが,理由にかかわらず,それぞれ正確に取り付けられている必要があります.


【考察】 
 4気筒すべてのSIPCホースがきちんと最後まで差し込まれていない状態でした.それとは別にオイルホースも最後まで差し込まれていない ※1 状態でした.このような致命的であると言わざるを得ない状態の車両を見ると気の毒になります.
 硬くても柔らかくても,面倒でも簡単でも,物事はきちんと最後までやり遂げなければなりません.それは何も夢を実現しなさいというようなことを言っているのではなく,目の前のひとつひとつの小さな課題を正確にこなすことが大切だということです.特にRG400Γのキャブレータはホースを多用している為,それらを正確に組み付けていくことがとても重要なのです.


※1 差し込みの不十分なオイルホースについて





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