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事例:E-206

SIPCホースアダプタの研磨について

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500km
【不具合の状態】 
 1番,3番シリンダの燃焼不良により加速状態が悪化している状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードで不具合の整備を承る直前に他店で整備されたものですが,各部に不具合が見られた為,それぞれについて整備し直しました.ここではSIPCホースアダプタの研磨について記載します.

図1.1 劣化して表面がくすんでいるSIPCホースアダプタ
 図1.1は4番キャブレータをオーバーホール【overhaul(分解整備・精密検査)した際に取り外した SIPCホースアダプタの様子です.どの車両も例外なくこの様に劣化して表面の光沢が失われている状態になっています.機能としては亀裂等がなければ,二次エアを吸い込んだりするおそれはないと判断できますが,見た目が年代を感じさせ,オーバーホールにより性能が戻ったとしても,この部分が色褪せていることにより全体的な外観の質を損ねる原因につながります.


【整備内容】
 
外観の美しさを取り戻すと同時に表面に損傷が無いか確実に見極める為,全体を研磨しました.

図2.1 点検研磨された SIPCホースアダプタ
 図2.1は全体を研磨しながら状態を点検したSIPCホースアダプタの様子です.表面を研磨することにより,ゴミに見える細かい傷や,傷に見えるゴミ等を一掃し,材質そのものの状態を把握することができます.
またそれにより部品が光沢を取り戻し,見た目も非常に美しくなるという二重の効果が得られる為,キャブレータを構成する部品の研磨は特に古い車両であれば避けて通ることはできません.

図2.2 4番キャブレータに取り付けられた点検研磨の完了したSIPCホースアダプタ
 図2.2は4番キャブレータ本体に研磨したSIPCホースアダプタを締め付けた様子です.純正の設計では材料が真鍮とアルミニウム合金とのねじによる締め付けを考慮してガスケットが設定されていないと推測されますが,すでに発売から数十年経過したものであれば,やはり間に柔らかい緩衝と密封を兼ねたガスケットを介して締め付けるのが正当であるといえます.したがってメガスピードでは専用のアルミニウム合金のガスケットを4気筒すべてに使用して部品を取り付けています.
またスロットルバルブガイドを取り外して内部を点検洗浄し,新品の専用ガスケットと新品のトルクスで締め付けられている為,非常に見た目がきれいになっていることが分かります.

図2.3 使用状態のSIPCホースアダプタ
 図2.3はエンジンに取り付けられたキャブレータに,SIPCホースを取り付けた様子です.赤の楕円で囲んだ部分がアダプタになりますが,実際の使用状態にすると,アダプタのネジ部もホース取付部もそれぞれの部品で隠れてしまう為,実際に外部から見えるのは六角部分だけになります.


【考察】 
 部品は必ず劣化しますが,特にキャブレータを構成する真鍮部品はその色褪せが著しく,1980年代に製造されたものは,等しくみすぼらしい状態になっています.SIPCホースがアダプタにきちんと取り付けられていない ※1 のは問題外ですが,実際に取り付けられたものは,アダプタの六角部分しか見ることができません.つまり,どんなに磨いてもホースとキャブレータに隠れてしまい,光るのは六角部分だけになるということです.しかし,それは部品を磨かない理由にはなりません.特にキャブレータの部品のように小さいものであれば,例え見えなくなる部分でも,見える部分と同じくらい磨いておきたいものです.なぜなら,例えばホースを外したらその部分は色褪せしていたというのでは悲しいからです.


※1 差し込みの不適切なSIPCホースについて





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