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事例:E-278

パッキンの劣化によるインタンク式燃料ポンプ取り付け部からのガソリン漏れについて

【整備車両】 
 GSX-R750X (GR7DA)  年式:1999年  参考走行距離:約12,300 km
【不具合の状態】 
 燃料タンクのインタンク式燃料ポンプ取り付け部からガソリンが漏れていました。
【点検結果】 
 この車両はお客様のご依頼によりメガスピードにて車検(継続検査)を承ったものです。左前ウインカーが根元で折れていた ※1 ことなども含め、法定定期点検を実施するとともに、すでにお客様の方で認識されていた燃料ポンプ付け根からの燃料漏れを修理しました。

図1.1 パッキン下部から漏れ出しているガソリン
 図1.1 は燃料タンクを持ち上げて状態を確認した様子です。燃料タンクのインタンク式燃料ポンプ取り付け部から燃料が漏れ出した形跡がありました。お客様からお預かりした時も車体下部に燃料が垂れた形跡があったため、この部位が原因であると判断しました。

図1.2 劣化しているパッキン
 図1.2 はガソリンを抜き取り、燃料ポンプを取り外した様子です。パッキンが潰れていて周囲に液体ガスケットの様なものが付着していました。過去に漏れの修理がなされていたか、パッキンの一部が変質してこの様な状態になったのかは分かりませんが、いづれにしろ座面を清掃洗浄しなければなりません。

図1.3 汚れている燃料ポンプとタンクの取り付け面
 図1.3 は取り外した燃料ポンプの様子です。タンクとの接触面は汚れていて異物が存在し、隙間の原因になっていました。


【整備内容】
 燃料ポンプのタンクとの取り付け面を洗浄し、新品のパッキンおよび取り付けボルトを使用してポンプを取り付けました。

図2.1 洗浄した燃料ポンプタンク取り付け面
 図2.1 は燃料ポンプのタンクとの取り付け面を洗浄した様子です。これによりパッキンの密着性を高めました。

図2.2 新品のパッキン
 図2.2 燃料タンクと燃料ポンプを接合する新品のパッキンの様子です。かなりゴムの部分の山が高くなっていることが分かります。

図2.3 清掃・洗浄した燃料ポンプ取り付け部
 図2.3 は燃料タンク側の、燃料ポンプ取り付け部を清掃・洗浄した様子です。内側のゴムが入る溝にも異物が多く挟まっていた為、かなり入念に手入れしました。

図2.4 タンクに取り付けられた燃料ポンプ
 図2.4 は燃料タンクに燃料ポンプを取り付けた様子です。ボルトもすべて新品を使用し、確実に締め付けました。このボルトは新品の状態ではねじロックが溝に塗布されている状態で製品になっている為、可能な限り新品に交換しておいた方が良いと言えます。また見た目にも新品のねじは光沢が美しく、気分も良くなります。

図2.5 ガソリン漏れの解消したポンプ取り付け部と新品の燃料ホース
 図2.5 は整備の完了した燃料ポンプ周囲の様子です。ポンプを外すと同時に燃料ホース高圧圧送側、低圧戻り側ともに新品に交換しました。また低圧側はクリップおよび防護スプリングも合わせて新品に交換し、万全を期しました。
 車検場までの道中や試運転を含めて燃料漏れが解消したことを確認し、整備を完了しました。


【考察】
 インジェクション式の車両の燃料系統からガソリンが漏れることは、キャブレータ式のそれと比較して圧倒的に少なくなっています。そしてもし漏れたとすれば、この事例の様に燃料ライン以外で発生していることが少なくありません。

 今回は燃料タンクとポンプの付け根に当たる部位から漏れが発生していて、パッキンを新品に交換すると同時に取り付け部を清掃洗浄することで対応しました。やはり発売から20年近く経過した車両はパッキン類が劣化し密封性能が低下してきます。当該車両ではすでにガソリン漏れが始まっていましたが、ガソリン漏れは車両火災に直結する為、可能な限り漏れ出す前に予防的に整備しておいた方が良い部位であると言えます。特にこの事例の様に外部から全く見えない個所に関しては、やはり車検の際に法定定期点検をきちんと実施し、少なくとも2年に1回は点検しておく必要があります。



※1 根元から千切れたウインカーについて





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