事例:E-195
誤った取り回しによるリザーバタンクホース曲げ部の潰れとオーバーヒートの危険性について |
【整備車両】
RG250EW (GJ21A) RG250Γ(ガンマ) 1型 推定年式:1983年 参考実走行距離:約9,200km |
【不具合の状態】
リザーバタンクホースの曲げ部が潰れていました. |
【整備内容】
水廻りの整備一式を承っていた為,ウォータポンプやサーモスタット,
破損していた水温センサ配線等の整備・修理と同時に,
リザーバタンク本体を取り外して洗浄し,新品のホースを正しい取り回しで組み付けました.
図2.1の黄A'で示したホースは新品のリザーバタンクホースです.
正しい取り回しで新品のホースを取り付けたことにより,
その他の水廻りの整備を含めて安心して乗ることができるようになりました. |
【考察】
リザーバタンクホースが完全に潰れていた場合,
高温高圧になった冷却水がラジエータキャップから排出された際に行き場を失い,
一番弱い箇所が破損する危険性があります.
特に発売が1983年頃であることを考えればホースそのものに亀裂や損傷があってもおかしくなく,
圧力のかかったホースが破損する,あるいはホースが抜ける等の不具合につながる恐れがあります.
そして冷却水がそこから漏れ出した場合,何らかの形でラジエータ側が負圧になった時にエアを吸い込むことになり,
ラジエータを含めたエンジン内部はいわゆるエア抜きされていない状態となり,
水の循環が妨げられ,オーバーヒートの原因となり得る可能性があります.
それほど各ホースの取り回しは重要であり,Rの部分は極力ホースが内側に折れ込まない様にしなければなりません.
今回の事例では水廻りの整備一式を承っていた為,
ホースを新品に交換して適正な取り回しで取り付けることにより性能を十分発揮できる状態になりました.
古い車両あるいは複数オーナーの場合は,パイピングが素人整備されている場合が少なくありません.
やはり年式の古い中古車を入手した場合には,乗り出し時に一度正しくリフレッシュすることが大切であるといえます.
※1 吹け上がりの引っ掛かりと空燃比の狂いについて
※2 トランスミッションカウンタシャフトからのオイル漏れと無理な整備による弊害について
※3 サーモセンサ配線被覆の破損と短絡の危険性について
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