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事例:E-245

スロットルバルブガイドカバー取り付けスクリュの緩みについて

【整備車両】 
 RG250EW (GJ21A) RG250Γ(ガンマ) 1型  推定年式:1983年  参考走行距離:約13,900km
【不具合の状態】 
 スロットルバルブガイドカバーの取り付けスクリュがすべて緩んでいました.
【点検結果】 
 この車両はお客様が他店で購入された当初から7,000回転以上の高回転がスムーズに吹け上がらない ※1 という症状が発生していたということで,メガスピードにて故障診断およびその整備を承ったものです.オイルタンク内部にゼリー状に硬化したオイルが入っていた ※2 り,各部に不具合がありましたが,今回の事例では,キャブレータオーバーホール(分解整備・精密検査)時に確認したスロットルバルブガイドカバーの緩みについて記載します.

図1.1 緩んでいるスロットルバルブガイドカバーの締め付けスクリュ
 図1.1 はスロットルバルブガイドカバーの締め付けトルクを検査用トルクドライバで検査した様子です.約35CN・mとほとんど締まっていないに等しい数値でした.他の部位も総じて同様に緩みが確認できました.これはひとつねじを外したときに全く締まっている手応えがなかったため,確認のために残りのスクリュを検査したものです.
 RG250Γ (GJ21A) 型のキャブレータVM28型にはスロットルバルブガイドカバーを締め付けるスクリュが6か所使用されていますが,この部分は通常非分解の為,1983年の発売からまったく手が触れられていない車両がほとんどです.そして大半がガスケットがどす黒く汚れ,内部も劣悪な状態に陥っています.数十年経過すれば締め付けていたスクリュが緩むのも無理はなく,その場合ガイドとボデーの間に隙間ができて二次エアの吸い込みにつながりかねません.したがって,『キャブレータオーバーホール』と称すのであれば,この部位も確実に点検整備されるような水準でなければなりません.
 メガスピードでは独自のガスケットを用意することができるため,キャブレータオーバーホールの際には必ずこの部分も分解し,最良の状態にもっていくよう最善を尽くしております.


【整備内容】
 スロットルバルブガイドカバーおよびボデーを洗浄し,新品のガスケットを取り付け,新品のスクリュをねじ径に対する標準締め付けトルクにひと工夫加えて確実に締め付けました.

図2.1 洗浄されたボデーおよびガイドカバー
 図2.1 はスロットルバルブガイドカバーおよびボデーを点検洗浄し,カバーに独自の新品のガスケットを取り付けた様子です.これにより数十年間で堆積した汚れを除去することができました.また各通路も確実に洗浄し,開通していることを確認しました.この部分を開けなければ確認できない通路が存在する為,メガスピードでは細部まで点検することが可能です.

図2.2 スロットルバルブガイドカバーの締め付け
 図2.2 はトルクドライバでスロットルバルブガイドカバーを確実に締め付けている様子です.これによりゴミや二次エアのキャブレータボデー内への侵入を確実に防止することが可能になりました.

図2.3 オーバーホールの完了したキャブレータ
 図2.3 はオーバーホール(分解整備・精密検査)の完了したキャブレータの様子です.消耗品をすべて交換することはもとより,ボデーやチャンバ,カバー等キャブレータ本体の美化に力を入れ,細部の傷や損傷を点検し,より良い状態でエンジンに取り付けられるように仕上げました.そして実際に試運転を実施し,性能が回復したことを確認して整備を完了しました.


【考察】 
 この車両はお客様が他店で購入された当初から高回転が吹け上がらないという症状があり,メガスピードにて整備を実施しました.原因は空燃比の狂いすなわちセッティングが合っていないことでした.セッティングの狂いと直接関連性はありませんが,今回の事例では6か所すべてのスクリュが緩んでいました.場所が非分解であることや,使用されているのがいじり防止トルクスである為に,バイク店ですら全く触れないことが大半である部位です.当然発売から数十年経過してくれば内部は汚れますし,緩んだスクリュ周囲からはエアを吸い込む可能性が高くなります.したがって,この部位を整備することこそVM28型キャブレータをオーバーホールする醍醐味であると言っても過言ではないのです.

 時はまさに21世紀,古い2ストの時代ではありません.しかしこのモデルがデビュー当時に皆に強烈な印象を与えたことはまぎれもない事実です.整備性が悪く設計も今となっては古いですが,排気デバイスのついていない純粋な2ストを味わうにはもってこいの車両です.そんな個体に乗り続けたい,あるいは乗ってみたいという方のために,メガスピードは可能な限りサポートさせていただきたいと考えております.


※1 高回転および低中回転の空燃比の狂いによるエンジンの吹け上がり不調について
※2 2サイクルオイルの変質硬化によるエンジン焼き付きの危険性について





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