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事例:E-217

2サイクルエンジンのオイルポンプ外観の泥と油汚れについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500 km
【不具合の状態】 
 1番と3番シリンダが燃焼不良を起こし,加速性能が悪化した状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードで不具合の整備を承る直前に,他店でキャブレータのオーバーホールが実施されたということですが,部品の組み間違え等の不適切な作業が実施されていた為,すべてやり直したものです.ここではその際に気になったキャブレータボデー外観について記載します.



図1.1 取り外した汚れているオイルポンプ
 図1.1はオイルポンプの吐出量を測定する為にエンジンから取り外した様子です.赤色の円で囲んだ部位のクリップだけ割れ口がこちらを向いた状態で取り付けられていました ※1 .またポンプボデーも全体的に泥と油の混合物で汚染されていました.


【整備内容】
 
 オイルポンプのオイル吐出性能を測定すると同時に外観を洗浄・研磨しました.


図2.1 洗浄研磨されたオイルポンプ
 図2.1は吐出性能を測定し,正常であることを確認したオイルポンプの外観を洗浄・研磨した様子です.オイルポンプの性能が確認された安心感はもちろんのこと,エンジンに取り付けた際の見た目の美しさも取り戻すことができました.

図2.2 エンジンに取り付けられた整備の完了したオイルポンプ
 図2.2は整備の完了したオイルポンプをエンジンに取り付けた様子です.反転していたクリップを正しい位置に戻すことにより,整然とした機械の機能美を楽しむことができるようになりました.
最終的に試運転を重ね,正常であることを実際に確認して整備を完了しました.


【考察】 
 2サイクルエンジンの中でも,特に汚れていて清掃洗浄が大変な部品の1つにオイルポンプが挙げられます.オイルポンプは設置場所が汚れやすい部位であることが少なくなく,更にオイルホースが脱着された際に垂れるオイル,エア抜きの際に垂れるオイル,そしてオイル漏れの際ににじみ出るオイル等が,その都度洗浄されずに数十年経過している為,その部位に泥が溜まり油と混ざって非常に汚い固形物を形成します.
 今回の整備ではオイルポンプの吐出量を測定する為にオイルポンプをエンジンから取り外しました.確かに測定のみであればボデーを洗浄・研磨する必要はありません.しかしポンプの機械的な部分を細かく点検する為には,やはりまず徹底的に洗浄して表面をきれいにすることが必要です.そして洗浄しただけでは落とし切れない汚れ等については研磨することで,表面の状態を剥き出しにして異常がないか調べなければなりません.その上で問題ないと判断して初めて再びエンジンに設置されるのです.


※1 反転して取り付けられたオイルホースクリップについて





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