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樹脂で固められたオイルレベルスイッチについて


【整備車両】

RGV250M
(VJ22A) RGV250Γ(ガンマ)  推定年式:1992年  参考走行距離:約15,500km


【不具合の症状】

オイルレベルスイッチが樹脂で固められていて,そのままでは取り外しが不可能な状態でした。

【点検結果】

この車両はお客様が他店で購入された直後に,メガスピードで様々な点検整備のご依頼を承ったものです。

オイル廻りを点検していてオイルレベルスイッチを取り外す為にシートカウルを取り外すと,

オイルレベルスイッチの取り付け部が樹脂で固められていて外せない状態でした。


図1 樹脂の様なもので固められているオイルレベルスイッチ

図1はオイルタンク外観です。

配線の被覆がゴールドで塗装されていて,その色が樹脂と同色であると判断できるくらい似ているので,

何らかの理由で樹脂を塗装した時にマスキングが不十分で配線被覆にも着色したのかもしれません。

オイルタンクにも全体的に飛散したゴールドの塗装が付着していました。





図2 樹脂で固められた配線及びスイッチ上面

図2は取り外せば破損する可能性があることをお客様にお伝えし,

了承を得てから取り外したオイルレベルスイッチの様子です。

樹脂を丸ごとはがすことができたので損傷は避けることができましたが,

再度オイルタンクに使用するには十分な取り付けができない状態でした。


【整備内容】

新品の部品供給があることが確認できたので,

年式も考慮し,今回はオイルレベルスイッチを新品に交換しました。



図3 新品のオイルレベルスイッチ

図3は新品のオイルレベルスイッチの様子です。

取り外した古いスイッチは機能していて問題ないといえる性能レベルでしたが,

新品のオイルレベルスイッチはフロートの接触に対するレスポンスが非常に良好で,

より正確なオイルレベルを確認することが可能になりました。

またセンサーからの配線は新品の状態では根元から完全に絶縁されており,

なおかつ配線に柔軟性があり,それでいてしっかりしていることが分かります。




図4は新品のオイルレベルスイッチをオイルタンクに取り付けた様子です。

図4 新品のオイルレベルスイッチが取り付けられたオイルタンク

2サイクルエンジンオイルを徐々に入れながら実際のスイッチの動作を確認すると同時に,

スイッチより上の高さまでオイルを入れ,オイル漏れが発生していないことを確認して整備を完了しました。


【考察】

この事例ではオイルレベルスイッチのタンク取り付け部が樹脂の様なもので固められていました。

機能的には影響がないとしても,脱着が不可能で点検ができない状態でした。

中古車なのでお客様が購入された販売店で行われたものか,

その販売店が仕入れる前の段階で行われたものかは分かりませんが,

取り外して点検ができない状態は問題であり,速やかに解決される必要がありました。

それではなぜ樹脂で取り付け部が固められていたのでしょうか。

樹脂が盛られていた部分は,オイルレベルスイッチのタンクへの取り付け部であり,

2つの大きな役割があります。

ひとつはセンサからの配線を外部に取り出す為の,いわゆる配線の外と内の接続部であること。

そしてもう一つはオイルタンク内部のオイルがスイッチ取り付け部から外部に漏れ出さないように機密を保つこと。

この2点のどちらか片方でも不具合があれば,オイルレベルスイッチは整備されなければなりません。

センサからの配線取り出し部の損傷は古い車両に良く見られ,こちらの事例でもとりあげています。

オイル漏れに関しては,オイルレベルスイッチの取り付け位置がオイルタンクの最上部にある車両も少なくないので,

その場合はオイル漏れという症状は多くないといえます。

しかし今回樹脂で固められた背景には,

この2点が重複して不具合として発生していた為に誰かが行ったものである可能性もありますが,

オイル漏れに対しても,配線の絶縁性を確保するにしても,樹脂という材料では不十分であり,

なぜ樹脂が使用されたか不明です。

もしかしたら手元にあった材料で応急処置がされたのかもしれないし,

まったく違った意図で樹脂が使用されたのかもしれません。

いずれにしても不適切であり,今回は年式も考慮してオイルレベルスイッチを新品に交換しました。

やはり修理するにしても,もう少し的を得た方法がとられるべきであるし,

部品そのものがASSYであり,なおかつ年式が古い車両であれば,

部品が絶版になる前に投資しても十分な価値があると判断できるものは,

可能な限り早めに新品に交換しておくことが望ましいといえます。





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