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事例:S-112

ダストブーツの破れによる防塵性能低下と見た目のまずさについて

【整備車両】 
 Today (AF61) トゥデイ  推定年式 ―  参考走行距離:約2,300km+メーター1周以上(推定)
【不具合の状態】 
 フロントフォークのブーツが破れている状態でした.
【点検結果】 
  この車両は走行していたもののエンジンがかからなくなったということでメガスピードにて整備を実施したものです.シートが破れてめくれ上がっていた ※1 り,様々なヨレやヤレが発生していましたが,今回の事例ではフロントフォークダストブーツの不具合について記載します.

図1.1 破れているフォークブーツ
 図1.1はブーツの破れている右側フロントフォークの様子です.左側も同様になっていて,見苦しいだけでなくストローク部をゴミから守る機能も低下している状態でした.いくら立派なスーツを着て登場したとしても,足元がこれでは台無しです.

図1.2 汚れているフォークストローク部
 図1.2はフロントホイールを取り外し,ちぎれていたダストブーツを取り外した様子です.内部に油汚れや泥が溜まっていました.しかしわずかに点錆がある程度で,極端な腐食等はありませんでした.

図1.3 取り外したダストブーツ
 図1.3は取り外したダストブーツの様子です.蛇腹の部分は特に薄いゴムでできている為,外部からの損傷がなくても経年劣化により破れることが容易に想像できます.実際にこの車両も外部からの力でちぎれたのではなく,経年劣化によるものと判断できます.


【整備内容】
 社外の新品のダストブーツに交換しました.

図2.1 社外の新品ダストブーツ
 図2.1は社外の新品ダストブーツの様子です.中国製であり,純正品と比較すると形状はほぼ同じで若干肉が薄い印象を受けます.しかし価格が純正品の半額であることから,今回はこの部品を使用しました.

図2.2 点検・洗浄研磨されたフォークシンナーチューブ
 図2.2は点検洗浄し,仕上げに表面をわずかに研磨したインナーチューブの様子です.物理的にはブーツなしでも走行可能ですが,あえて設計されているのであれば,それを取り付けておくことが望ましいと言えます.

図2.3 新品のダストブーツを取り付けたインナーチューブ
 図2.3は新品のダストブーツをインナーチューブに取り付けた様子です.これにより外部からのゴミや汚れを防止することが可能になりました.

図2.4 品格を取り戻したフロント周り
 図2.4は整備の完了したフロント周りの様子です.図1.1のボロボロな状態と比較するまでもなく,整備されたことにより性能および美しさと品格も取り戻すことができました.


【考察】 
 amazonでToday (AF61) を検索するとすぐに社外部品がヒットすることからも,シート同様この車両にありがちな破損部位であり,それなりの数が見込めることから社外品が出回っているものであると考えられます.
今回の事例でもamazonを利用した新品の社外品を使用しました.中国製と記載されていましたが,少しゴムが薄くなっている点以外,見た目はほとんど純正品と変わりません.それでいて純正の半額以下で利用できるとすれば,やはり車両価格の安価な原付を修理する際には有効な選択肢になってきます.
 原付スクーターといった新車でも車両本体価格が10万円程度の車種であれば,修理部品に費用をかけることが難しいのが実情です.整備料金についても,特に修理対象が原付であると,整備費用が容易に中古スクーター価格を超えるといった逆転現象に陥る為,お客様の熱意がなければ承ることが難しいカテゴリーです.
 整備前の画像と比較すれば一目瞭然ですが,やはりダストブーツが破れたままでは見た目が貧相です.バイクがそう思われるだけならまだしも,ライダーまでその様な目で見られる危険性が大です.したがって,最低限清潔な身だしなみを維持するのと同じく,例え下駄代わりの原付であったとしても,足元から品のある態度で臨みたいものです.


※1 使用や経年劣化により後部からめくれ上がったシート表皮について





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