トップページ故障や不具合の修理事例【二輪自動車】 車体関係の故障、不具合、修理、整備の事例 (事例:61~70)


事例:S-61

経年劣化により破損したブレーキペダルラバーとブレーキ操作感の悪化について


【整備車両】

 RG500EW-2W (HM31A)  RG500Γ(ガンマ) 2型   年式:1986年  参考走行距離:約14,500km


【不具合の状態】

 ブレーキペダルラバーが破損しており操作感が悪化している状態でした.


【点検結果】

 この車両はお客様が走行中にパワーがなくなり,やがてアイドリング中にストールしたということで,

メガスピードにて点検整備を承ったものです.

今回の事例では,同時に車体廻りを目視点検した際に発見したブレーキペダルラバーについて記載します.



図1.1 裂けているブレーキペダルラバー

 図1.1は完全に裂けてしまっているブレーキペダルラバーの様子です.

操作感が悪化していた他,近い将来脱落してブレーキペダルの操作が滑りやすくなり,

非常に危険な状態に陥る可能性が高いといえます.



図1,2 裂け目の裏側に亀裂の発生しているラバー

 図1.2は取り外した滑り止めラバーの状態を確認している様子です.

裂け目の裏側の部分にも亀裂が入っていることが分かります.

状態から使用による消耗ではなく,経年劣化により各部が損傷していると判断することができます.

また全体的に硬質化していて,十分な摩擦力を得るのは難しい状態でした.



【整備内容】

 新品の部品供給があることから,ペダルラバーを新品に交換しました.



図2.1 新品のブレーキペダルラバー

 図2.1は新品のブレーキペダルラバーの様子です.

ゴムに柔軟性がある為,ライダーの操作にしなやかに追随することが期待できます.



図2.2 新品のラバーの取り付けられたブレーキペダル

 図2.2は新品のラバーをブレーキペダルに取り付けた様子です.

新品のゴムは表面がブーツ裏に吸い付く様なしっとりとした状態の為,意図した通りのブレーキング操作感が期待できます.

またアルミ合金の腐食も研磨したことにより,機能だけでなく,見た目も美しく再生することができました.



【考察】

 ブレーキペダルラバーの一番の機能的目的は,ライダーがリヤブレーキ操作時に,ブーツにしっかりと追随し,

正確なペダル操作ができるようにアシストすることです.

どんなに優れたライダーであっても,ブーツとの接触部がつるつるでは満足のいく操作を行うことはできません.


 この事例ではラバーの上側が真っ二つに割れている状態でした.

別の事例においては,使用部品の共通しているRG400Γ (HK31A) において,

ラバーの下側が完全に裂けている
※1 ものがありました.

同じ部品でも上下逆の破損現象が発生していることは非常に興味深いといえます.


 この事例では辛うじてゴムがペダルに張り付いている状態であり,

近い将来操作時に脱落してアルミペダルだけになることが懸念される為,

事前に新品に交換することで対応しました.

部品としてはわずかな投資ですが,ライディング時に得られる効果は非常に大きく,

また見た目も美しくなることにより,一層RG500という稀有な車両を所有する満足につながることは言うまでもありません.





※1 “経年劣化により下側が裂けたブレーキペダルラバーについて”






Copyright © MEGA-speed. All rights reserved.