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事例:S-120

見苦しく配管されたリヤブレーキホースの見直しについて

【整備車両】   
 
RG400EW (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 1型  年式:1985年  参考走行距離: 9,100 km
【不具合の状態】 
 リヤブレーキホースの配管が著しく見苦しく,ホースにも損傷が発生していました.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードにてお客様から継続検査(車検)のご依頼を承ったものです.リヤ廻りからミシミシと骨の軋む様な異音が発生していたり ※1 ,ヘッドライトの固定が不安定だったりと様々な不具合が発生していました.今回の事例ではご希望により同時に実施したリヤブレーキホースの交換について取り上げます.

図1.1 大きくスイングアーム後方に湾曲したリヤブレーキホース
 図1.1 はリヤブレーキホース全体の様子です.大きくスイングアーム後方に湾曲して配管されていました.この状態ではホース後部がグラつくだけでなく,非常に見苦しい印象を受けます.

図1.2 別角度から見た大きく湾曲したリヤブレーキホース
 図1.2 は大きく湾曲したリヤブレーキホースの様子です.この部位は全く固定されていない為,グラつきによりリヤホイール可動部に接触する恐れがあります.また取り回しが奇妙で見苦しく,全体的に残念な印象しか残りません.お客様が中古で車両を購入された際にすでにこの様な姿にされていたもので,車検の際に同時に是正したいということでした.今回その時が来た為,メガスピードにて見直すことにしました.

図1.3 クランプ留めされたホース
 図1.3 ホース中間部をクランプで巻き付けてある様子です.やはりこれも見苦しい要素の一つになっており,見直さなければなりません.

図1.4 被覆の破れているホース
 図1.4 はホース最外部の被覆が破けている様子です.擦れによるものであると推測され現状で液漏れはありませんが,いかんせんホース全体が汚い為,一式新品にすることになりました.

図1.5 汚れたリヤブレーキフルード
 図1.5 はリザーバタンク内部の汚れたリヤブレーキフルードの様子です.この様な色合いを見ると,前回の車検時はおろか10年近く何もしていないような印象を受けます.液圧はかかりますが,吸湿・劣化したフルードはベーパーロックの引き金ともなる為,この様な事態に陥る前に交換しなければなりません.


【整備内容】
 ブレーキホースを社外の新品に交換し,同時にリザーバタンクを洗浄しました.

図2.1 新品のSWAGE-LINE
 図2.1 は新品の 〔PLOT〕 SWAGE-LINE の様子です.お客様のご希望により今回はフロントブレーキにあわせる形で同じ色を選択しました.

図2.2 洗浄されたリザーバタンク
 図2.2 は洗浄されたリザーバタンクの様子です.ブレーキホースを交換する際にブレーキフルードを一旦抜きますが,タンク内部に汚れが残ったままでは新品に交換されたホース内部を汚染する為,予め取り付け前にタンクを綺麗にしておく必要があります.

図2.3 新品のホースガイド
 図2.3 は純正のクランプをPLOTのホースガイドに変更し,取り付け角度を最適化した様子です.大型で言えばGSX1300R (GW71A),軽二輪で言えばGSX-R250 (GJ72A) と同じ取り回しに変更しました.

図2.4 新品のホースガイド
 図2.4 はホースガイドをスイングアーム上方から見た様子です.ガイドがあることによりホースがタイヤやディスクに接触することなくスムーズな配管を保持しています.

図2.5 整備の完了したリヤブレーキホース全体図
 図2.5 は整備の完了したリヤブレーキホース全体の様子です.整備前の図1.1 と比較すると非常にスムーズな配管になりサッパリした印象を受けます.またホースが新品になったことにより機能だけでなく清潔感も得ることができました.

図2.6 新品のリヤブレーキホースキャリパ側
 図2.6 は新品のブレーキホースの取り付けられたキャリパ側の様子です.リヤホイールのブルーと非常にマッチした調和のとれた仕上がりになりました.
 実際に試運転を実施し,見た目とその制動性能に問題がないことを確認して整備を完了しました.


【考察】 
 この車両はホイールがカワサキのZRXに交換された状態でお客様が中古車として入手されたものです.換装した作業者の不適切な処置によりリヤ廻りから異音が発生するという不具合が発生していましたが,おそらく同時にやられてしまったであろうブレーキホースの見苦しい配管も目につきます.
 カスタムと称して安易にホイール等が換装された個体が後を絶ちませんが,仕上がりがグチャグチャではやらない方がましであると言えます.カスタムするのであれば,やはり機械的・機能的に見て性能および美観である程度の水準はクリアしておく必要があるのは,この事例の図1.1 の見苦しい配管を見れば明らかであると言わざるを得ません.特にバイクのブレーキホースは4輪の車と違い常に露出して見える部位ですから,より一層気を遣いたいものです.


※1 ハブカラーが無いことによるリヤ廻りからの異音について





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