事例:E-175
広がったバルブクリアランスの調整と表面の腐食したヘッドカバーについて |
【整備車両】
CB250RS (MC02) 推定年式:1981年 参考実走行距離:約18,300km |
【不具合の状態】
ヘッドカバーの表面が腐食していて見苦しい状態でした.またバルブクリアランスが基準から外れている状態でした. |
【点検結果】
この車両はお客様のご依頼によりメガスピードにて各部分解整備を承ったものです.
今回の事例ではバルブクリアランス及びヘッドカバーに関する整備について記載します.
図1.1 アルミニウムに腐食の見られるヘッドカバー |
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図1.1は腐食しているヘッドカバーの様子です.
オイル漏れ等の不具合はないものの,経年劣化により非常に見苦しい状態になっていました. |
【整備内容】
ヘッドカバーはまだ新品の部品供給があることから新品に交換し,同時にバルブクリアランスを調整しました.
図2.1はカバーを取り外しバルブクリアランスを調整している様子です.
0,02mmから0,05mm程度すき間が広がっていたため,適正に調整しました.
図2.2はバルブクリアランスを調整してカバーを取り付けている様子です.
Oリングはすでに数十年経過して劣化していることから新品に交換しました.
図2.3は新品のヘッドカバーを新品のボルトで締め付けた様子です.
バルブクリアランスが調整されたことによるエンジンの性能向上と,
見た目の美しさを取り戻すという2点において確実な整備を実施しました. |
【考察】
アルミニウムは錆びないものの,経年による腐食が発生します.
そしてバイクの美しさはアルミニウムの美しさによるところが少なくないことからも,
可能な限り良好な状態を保ちたいものです.
今回の整備ではバルブにアクセス可能であったことから同時に調整を実施しました.
実際にバルブクリアランスが大きくなっていたため,
体感できないまでも,調整により打音の静粛性が向上したことや,
適切なバルブタイミングに戻されたことによる性能が向上したことは間違いありません.
古い車両に関しては,特にアルミニウムとの付き合いが重要になります.
手入れをしたり交換したりする場合も,やはり部品そのものだけでなく,
それに付随した関連個所を整備することは,車両を適切に維持するためにも非常に大切なことであるといえます. |
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