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事例:E-178

オイルタンクマッドガード取り付けスクリュのなめと固着および周囲のオイル汚れについて


【整備車両】

 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1988年  参考走行距離:約58,000km


【不具合の状態】

 マッドガード取り付けスクリュの頭がなめている上固着していました.

 またマッドガード取り付けスクリュ周囲がオイルタンクからこぼれたオイルと泥の混合物で汚染されていました.


【点検結果】

 この車両はエンジン始動不能になっていたもので,お客様のご依頼によりメガスピードにて整備を実施したものです.

今回はオイル廻りの整備一式を承った際に取り外したオイルタンクに付属しているマッドガードについて記載します.



図1.1 オイル汚れの発生しているマッドガード

 図1.1はオイル廻りの点検整備のために取り外したオイルタンクの様子です.

全体的に油汚れが著しい上マッドガード取り付けスクリュがなめていて強固に固着している状態でした.



図1.2 頭のなめているマッドガード取り付けスクリュ

 図1.2は取り外したマッドガード取り付けスクリュの様子です.

主に締め付け方向でのなめた形跡が見られるため,過去に脱着作業した人がなめてそのままにした可能性があります.

なめの程度は比較的軽いといえますが,ボルトが固着していたため,

取り外しは容易ではありませんでした.

取り付け先がオイルタンクという,金属に比べればはるかに柔らかい素材なので,

無理な衝撃をあたえて緩められないことも,作業をより一層難しいものにしていました.



【整備内容】

 オイルタンクは点検洗浄し,消耗品を新品に交換するとともにマッドガード取り付けスクリュも新品に交換しました.



図2.1 新品のスクリュ,ロックワッシャ,ワッシャ

 図2.1は新品のマッドガード取り付けスクリュ,ロックワッシャおよびワッシャの様子です.

この部位は整備されることが少なく,多くの場合においてスクリュが固着しているため,

オイルタンクを取り外した際には同時に新品にしておくことが大切であるといえます.

というのも,マッドガードを取り付けたままですと,その部位の下の部分が洗浄できないばかりでなく,

オイルタンクを洗浄してヒートシールドを貼り直す場合に邪魔になるので,

完全に綺麗に仕上げるには,やはりマッドガードは取り外さなければなりません.



図2.2 整備されたオイルタンク

 図2.2は各部の部品を新品に交換し,ヒートシールドを貼り付けたオイルタンクの様子です.

マッドガードの取り付けスクリュが新品にされたことにより,非常に美しい外観を取り戻すことができました.

やはり美しく仕上げるためにもマッドガードは一旦取り外して,各々を点検洗浄することが大切です.



考察】

 マッドガードの設計は車両によって異なり,リヤフェンダが後輪の前側まで伸びて一体になっているものや,

この事例のようにゴムの薄板が別途取り付けられているものもあります.

そして少なくとも製造から20年以上経過している車両のそのほとんどが泥まみれになっていて,

中には取り付けスクリュのねじの頭が油や泥の混合物で埋め尽くされているものも少なくありません.

特にRG400Γ (HK31A) のようにオイルタンクに取り付けられているものは,こぼしたオイルがオイルタンクを伝わり,

マッドガードの部分ではねられた泥と混ざって固形化しているものが非常に多く,

オイル廻りの点検整備の際には是非ともクリーンな状態にしておきたい部位であるといえます.


 今回の事例ではねじの頭がなめて強固に固着していたものの,

極度に酷い錆や折損等がなかった破損させずに取り外すことができました.

マッドガードは中々整備する機会がない場所であるといえますが,

周囲に手入れをする必要がある場合には,同時に整備しておくことが大切であるといえます.





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