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事例:E-265

振動等で破損したマフラースプリングの紛失によるサイレンサのガタつきついて

【整備車両】 
 GSX1300RY (GW71A) "HAYABUSA" 隼 (ハヤブサ) 年式:2000年  参考走行距離:約26,500 km
【不具合の状態】 
 マフラーのサイレンサがガタつく状態でした.
【点検結果】 
 この車両は運行前の日常点検によりマフラーサイレンサー接続部のスプリングの紛失に気付きメガスピードにて整備を実施したものです.

図1.1 下側スプリングの紛失したサイレンサ
 図1.1 はサイレンサ取り付け部の様子です.黄色の楕円で囲んだ部位に本来あるべきスプリングがなくなっていました.原因は走行による振動等で,披露した結果取り付けフックが折れて走行中に脱落したものであると推測できます.
 この状態ではサイレンサの上側が引っ張られるだけなので傾きが発生し,漏れを含め悪影響を及ぼします.また上側のスプリングのみに負荷が発生している為,この状態で乗り続ければ,残った上側も近い将来破損する可能性が否定できません.


【整備内容】
 残っていた上側も含め,上下防振ゴム付の新品のマフラースプリングに交換しました.

図2.1 新品の防振ゴム付きマフラースプリング
 図2.1 は新品の防振ゴム付きマフラースプリングの様子です.材質はステンレスを選択し,容易に破損しないよう防振ゴムが付属する製品を採用しました.

図2.2 正確に取り付けられたマフラーサイレンサ
 図2.2 は新品の防振ゴム付きスプリングで正確にサイレンサを固定した様子です.図1.1 比較すれば明らかですが,上下できちんと固定されることにより,サイレンサがマフラーエンドに対して水平に取り付けられていることが分かります.これにより排気漏れや排気音漏れの懸念がなくなり,楽しく安心して乗ることができるようになりました.


【考察】 
 マフラースプリングは消耗品と言って良い程,取り付けフックが折れます.特に2ストエンジン搭載モデルでチャンバやサイレンサー等をスプリングで吊っている車両の場合,本当に良く折れます.しかしそれは2ストだけでなく,4ストエンジンにおいても同様で,やはり長期間使用すると折れます.材質が鉄の場合,エンジンからの振動の他,錆という悪条件が重なる為,定期的に折れて脱落していないか点検しておく必要があります.

 スプリングが脱落したまま乗り続けると,サイレンサーの場合はその付け根,エキゾースト出口であれば,シリンダの付け根に負担がかかり,金属に対して悪い影響を及ぼしかねません.したがって,スプリングの紛失に気づいたら早急に対策しておくことが求められます.また今回の事例の様に,2か所で同じように使用されている場合,片側のスプリングが脱落していればもう一方も同様に疲労していると考え,同時に新品にしておくことが望ましいと言えます.

 今回の事例では運行前の日常点検においてスプリングの脱落を発見しました.例えば出かける際にエンジンをかける前に車両の周りをぐるっと見渡すだけでも十分に点検の効果があります.そうすれば,昨日とは違った何かに気付くことができるかもしれません.







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