トップページ故障や不具合の修理事例【二輪自動車】 エンジン関係の故障、不具合、修理、整備の事例 (事例:171~180)


事例:E-174

衰損したクラッチスプリングによるクラッチ操作フィーリングの悪化について


【整備車両】

 CB250RS (MC02)  推定年式:1981年  参考距離:約18300km


【不具合の状態】

 クラッチスプリングが衰損していて,整備後と比較すると結果論的にクラッチ操作フィーリングが悪化している状態でした.


【点検結果】

 この車両はお客様のご依頼によりメガスピードにてクラッチカバーのオイル漏れの修理を承ったものです.

修理工程でカバーを外して内部にアクセスできる状態になることから,

同時にクラッチ内部の分解整備も実施しました.



図1.1 新品のクラッチスプリング(左)と衰損したクラッチスプリング

 図1.1取り外したクラッチスプリングと新品のクラッチスプリングを比較した様子です.

新品に比べて取り外したスプリングは自由長が短くなっている分衰損してしまったと考えることができます.

見た目はわずかな違いですが,この差が結果的に大きなフィーリングの悪化を招いていました.



【整備内容】

 新品のクラッチスプリングが入手可能であることから,4か所すべてのスプリングを新品に交換しました.



図2.1 正確に整備されたクラッチ廻り

 図2.1は整備の完了したクラッチ廻りの様子です.

実際に試運転を行った際に,わずかながらもスプリングの性能が取り戻されたことによる,

クラッチレバーの握りとクラッチのつながりのフィーリングが向上したことを体感することができました.



考察】

 日頃問題なく動いていると感じる車両でも,この事例の様に実際に内部を分解すると,

新車時に比べて部品が消耗あるいは衰損している場合が少なくありません.

この事例においても,整備前には問題なくクラッチの動作が出来ている状態であり,

年式を考えれば良好と判断してもおかしくないレベルでした.

しかし,実際にクラッチ廻りを分解整備し,衰損していたスプリングを新品に交換したことにより,

整備後のそれのフィーリングは非常にスムーズで節度ある感触が得られるようになりました.

つまり機能的には問題なくても,整備後と比較すれば操作フィーリングは相対的に悪化していたといえます.


 これは確かに車両を動かす最低能力は発揮していても,

消耗・衰損している部品を新品に交換すれば性能が取り戻せる場合が少なくないことを示しており,

この事例から,本来のフィーリングでのライディングを望むのであれば,

やはり中古車,特に発売から20年以上経過している車両に関しては,

問題なく動いていると感じる部分であっても一度点検整備しておくことが必要であると結論付けられます.





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