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事例:E-269

燃料フィルターを通過した錆によるキャブレータからの燃料漏れについて

【整備車両】 
 RG500EW-W (HM31A) RG500Γ(ガンマ) 1型  年式:1985年  参考走行距離:12,000 km
【不具合の状態】 
 エンジン停止の静止状態において著しい燃料漏れが発生していました.
【点検結果】 
 この車両は燃料漏れが酷いということでメガスピードにて整備を承ったものです.確かにお客様からお預かりした次の日には床にガソリンが水たまりの様に落ちていました.

図1.1 床にあふれたガソリン
 図1.1 はお客様から車両をお預かりした翌朝に撮影したガソリン漏れの様子です.燃料コックOFFの状態でも図の様に多量にガソリンが漏れていました.整備工場に入った瞬間にかなりのガソリン臭がしたので,これが一般宅であれば異臭はかなりのものになるはずです.

図1.2 燃料漏れの発生している1番および3番キャブレータ
 図1.2 は燃料漏れの発生している1番および3番キャブレータの様子です.もっとも,2番と4番も漏れていましたが,特にこの2つからの漏れが著しい状態でした.

図1.3 燃料の漏れているフロートチャンバ外部
 図1.3 は燃料が外に漏れ出している1番キャブレータのフロートチャンバの様子です.この状態から推測すると,プラグから漏れ出した可能性が高く,周囲が光っていることからも明らかです.ガソリン漏れは危険なだけでなく,そこに走行により飛散した泥などが付着して非常に汚らしくなる為,迅速に是正する必要があります.

図1.4 錆の溜まっている3番キャブレータの燃料フィルタ
 図1.4 は3番キャブレータから取り外した燃料フィルターの様子です.非常に細かい錆が詰まっていることが分かります.この錆の粒が一つでも弁に挟まれば,ガソリンが外部に漏れ続けます.

図1.5 フロートバルブシートに侵入した錆
 図1.5 はフロートバルブシートをハウジングから取り外した様子です.シートとハウジングの間に錆が堆積していました.この部位はフィルターより下流ですから,本来ここには錆があってはならないのです.またシートにも錆が付着していることが分かります.これだけキャブレータ内部に錆の侵入を許せば,これらが弁に挟まり,燃料が漏れ続けるのも無理はありません.


【整備内容】
 キャブレータを可能な限り洗浄し,燃料フィルターおよびフロートバルブASSYを新品に交換しました.

図2.1 新品のフロートバルブシートと洗浄されたバルブシートハウジング
 図2.1 新品のフロートバルブシートを洗浄したシートハウジングに取り付けている様子です.クリーンな状態は後述する新品のフィルターを付けることにより維持します.

図2.2 新品のニードルバルブ
 図2.2 は新品のニードルバルブを新品のバルブシートに取り付けている様子です.三角錐のゴムもリフレッシュされることから優れた追従性が期待できます.

図2.3 新品のフロートバルブASSY取り付け部
 図2.3 は新品のフロートバルブASSYに新品のフロートを取り付けた様子です.これにより燃料漏れ防止機能の回復を図りました.また錆びていたストッパプレートおよびスクリュも同時に新品に交換し,見た目の美しさも取り戻しました.フタをしてしまえば見えない部位ですが,やはりそうであっても中身は美しく保ちたいものです.

図2.4 オーバーホールの完了したキャブレータ
 図2.4 はスロットルバルブカバーを外してボデーを完全に洗浄し,オーバーサイズのオイルチェックバルブニップルを取り付けたり,各部手を入れたキャブレータの様子です.

図2.5 エンジンに取り付けられた整備の完了した1.3番キャブレータ
 図2.5 はオーバーホールの完了した1番および3番キャブレータをエンジンに取り付け各配管を施した様子です.燃料漏れの解消が期待できる上,外観も非常に美しく甦りました.

図2.6 新品の燃料フィルタの取り付けられたキャブレータ
 図2.6 は新品の燃料様フィルターを取り付けたキャブレータの様子です.燃料タンク内部に著しい錆は発生していなかったことから,今回は目の細かい純正フィルターで対応できると判断しました.

図2.7 燃料ラインに追加された燃料コック
 図2.7 は燃料タンクからキャブレータ間の燃料ラインに新品の燃料コックを追加した様子です.これによりキャブレータのフロートバルブの閉まり具合によらず,この部位で燃料を確実に止めることが可能になりました.
 最終的に試運転を実施し,エンジン稼働中および停止状態において,燃料漏れが解消したことを確認して整備を完了しました.


【考察】 
 RG500/400Γの1型のキャブレータは,オーバーフローパイプの長さが後期モデルに比べ短くなっているケースが多々見られます.もちろん途中で中古のキャブレータに交換された中古車であればその内容は混在しますが,概ねその傾向にあり,この車両はワンオーナーで短い方に属していることからもその確からしさが裏付けられます.

 新車ならともかく発売から数十年も経過している車両の燃料タンクは,例え給油口から覗ける範囲で綺麗でも,見えない部位に錆が発生している場合があります.またゴミがフロートバルブに挟まっても同様に弁が開きっ放しになり燃料が漏れ続ける為,定期的な燃料フィルターの清掃が欠かせません.

 今回はキャブレータをオーバーホールして燃料フィルターを新品に交換した上,更に燃料コックを左右計2か所に追加したことにより,キャブレータの状態に関係なく燃料をOFFすることが可能になりました.なぜこの部位で追加しなければならないか,それは純正の燃料コックの閉まりが悪いからです.

 いづれにしろエンジンを止めても追加したコックをOFFにすれば燃料はまず漏れません.このコックの構造は単純で堅牢であり,実際に動きを見ると確実に弁を閉めているのでかなり信頼できると言えます.燃料漏れは引火して火災の原因になるだけでなく,その臭いが周囲に悪影響を与えます.したがって漏れが発生した場合は何らかの手法で阻止する必要があり,特にRG500/400Γに関してはメガスピードではこの様な対策を講じています.







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