トップページ故障や不具合の修理事例【二輪自動車】 エンジン関係の故障、不具合、修理、整備の事例 (事例:21~30)


事例:E‐23
フロートバルブシートOリングの潰れとシートハウジング側面の荒れによる燃料漏れについて


【整備車両】

RG400EW-2WC (HK31A) RG400Γ(ガンマ) Ⅱ型  1986年式  (参考)走行距離:約33,500km


【不具合の症状】

3番シリンダのキャブレータからガソリン漏れが発生していました。


【点検結果】

図1はフロートバルブシートの取り付けられるハウジングの様子です。


図1 、表面の荒れているフロートバルブシートハウジング

全体的にハウジングの表面が荒れていて、側面の中央には環状に茶色の堆積物が確認できます。

この堆積物は、バルブシートの位置関係や部品構成から、

シートとハウジングを密封するOリングの痕であると考えられます。



図2は取り外したフロートバルブシートの様子です。


図2、Oリングの潰れているフロートバルブシート

シートとハウジングを密封する為のOリングの張りがほとんどなくなり、シート外径と面一になっていることが分かります。

これは長年ハウジングに埋め込まれていた為に、Oリングが潰れてしまい、張力がなくなり、

シール機能が低下して、ガソリン漏れの原因になっていると推測できます。


【整備内容】

図3は新品のフロートバルブシートとそれに取り付けられているOリングの様子です。



図3、新品のフロートバルブシートハウジング

Oリングがバルブシート外径より飛び出している分張りがあり、シール機能を確保していることが分かります。





図4、修正研磨したバルブシートハウジング

図4は表面の荒れを1/1000mm単位で修正研磨し、鏡面に仕上げた様子です。

これによりフロートバルブのOリングとの密着度を上げ、燃料漏れを解消しました。


【考察】

燃料漏れには様々な原因があります。

この事例では各所点検し、最終的にフロートバルブシートとハウジングの密着不良が燃料漏れの原因であると推測しました。

RG400Γ(ガンマ)に使用されているキャブレータ(MIKUNI VM28型)のフロートバルブシートは、

ハウジングから取り外せる設計になっていることにより、バルブとシートの両方が交換可能な為、

すなわち当たる側と受ける側の双方を新品に交換することができるので、

バルブとシートの不具合による燃料漏れが解消しやすくなっています。

しかしその反面、バルブシートとハウジングにすき間ができるので、その部分が確実にシールされていないと、

燃料漏れを引き起こす原因になります。

この事例では取り外したフロートバルブのOリングが潰れていてシール機能が損なわれていたこと、

ハウジングの表面が荒れていたこと等からシートとハウジングのすき間から燃料漏れが発生していると推測しました。

シートは新品に交換することにより、付属する新しいOリングでハウジングとのシール機能が回復します。

シートのOリングのみ単体で部品設定のある車種でもフロートバルブ廻りを整備する場合は、

可能な限りバルブとシート、それにシートのOリングのセットで新品にしておくことが間違いないといえます。

もちろんバルブシートにフィルターの取り付け設定のあるものはフィルターも交換しておくことが望ましいといえます。

ハウジングの側は、キャブレータボデーの一部なので、1/1000mmレベルで面を出し、

研磨することによりOリングとの密着度を上げ、ガソリンのシールを図りました。

組み上げたキャブレータからガソリン漏れが解消したことにより、

結果的にシートとハウジング間のシール機能の低下による燃料漏れだということが確かめられました。



メガスピードでは燃料漏れ等の修理でキャブレータをオーバーホールすることが多々あります。

文字通り、オーバーホールとは分解整備、精密検査です。単なる部品交換や掃除といった安易なものではありません。

この事例ではハウジングの表面が荒れていたので修正研磨しました。

しかし研磨できるのは1/1000mm単位で、内径を大きく削ってしまってはにシートとのクリアランスが大きくなり、

逆に燃料漏れの原因になります。

やはり部品の状態を見て、どこまで整備を行う必要があるか、どこまで整備を行うことができるか等を判断して、

可能な限り本来の性能を取り戻すことが求められます。





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