【整備車両】
RG250EW (GJ21A) RG250Γ(ガンマ) Ⅰ型 推定年式:1983年 (参考)走行距離:約18,600km |
【不具合の状態】
ウインカーの点滅が遅い状態でした。 |
【点検結果】
ウインカーの点滅が遅い症状が発生していた場合,その原因としてウインカーリレーの不具合と,
電源電圧が不十分であることが少なくありません。
したがって,電源を十分に確保する為にバッテリを充電しながらウインカーの点検を行いました。
その結果,ウインカーリレーの不具合であると判断し,リレーをコネクタから取り外しました。
図1は取り外したウインカーリレー端子部の様子です。
マイナス側の端子が著しく錆で腐食していて導通不良を発生させていると判断できます。
ウインカーが点滅することから導通はあるものの,抵抗が増したことにより内部のコンデンサに蓄電される効率が落ち,
その結果放電に時間がかかり点滅が遅くなっていると考えられます。
図2はウインカーリレーに接続される車体側端子の様子です。
やはりリレー本体と同様に配線側の端子も錆で腐食しており,電流の妨げの直接の原因になっていると判断できます。 |
【整備内容】
ウインカーリレーはASSYで供給される為,一式新品に交換しました。
図3は新品のウインカーリレーの端子側の様子です。
取り外したものを比較すると,いかに腐食していたかが判断できます。
図4は車体側のメーンハーネスから出ている電源側の配線とアース側の配線をギボシ加工した様子です。
ウインカーリレーASSYに含まれる新品のコネクタと端子及び配線のセットを使用する為には,
車体側の配線を加工して接続できる状態にする必要があります。
図5 車体側メーンハーネスに接続された新品のコネクタ及び配線 |
|
図5は車体側のメーンハーネスから出ている配線に,新品のコネクタと端子及び配線を接続した様子です。
端子や配線等の性能に影響する部分はもとより,コネクタも新品に交換されることにより,
手触りも良く見た目も美しい樹脂の造形美も楽しむことができます。
また古いカサカサした劣化したコネクタより強度が上がっていることはいうまでもありません。
図6 車体に取り付けられた新品のウインカリレーとコネクタ及び配線 |
|
図6は新品のウインカリレー及びコネクタ等を車体に取り付けた様子です。
ウインカーが規定の点滅を行うことを確認して整備を完了しました。 |
【考察】
ウインカーリレーも消耗品であり,例外なく使用や経年の劣化により不具合を発生させます。
この車両の発売が1983年であることを考えると,もし当時からついていた部品であれば,
端子部の著しい腐食もおかしくはありません。
そしてどこかで新品に交換された経緯があったとしても,
やはり消耗品であると考えて,不具合を発生させていれば交換する必要があります。
この車両は個人売買で入手されたお客様から整備のご依頼を承ったものであり,
それまでの車両の状態は不明です。
しかしここで一度新品に交換されていれば,また長期間使用が可能になります。
ウインカーリレーはASSYで供給されており,その内容には端子とコネクタ,配線のセットが含まれます。
したがって,すべて使用すればそれらを一式新品に交換することができます。
ですが,もともとついていたコネクタはそのままでウインカーリレーだけを交換するという選択肢もあります。
その場合,ウインカーリレーを差し替えるだけなので一番早いといえますが,
実際にはウインカーリレー側の端子と接続されていた車体側のコネクタ内部の端子も同様に腐食が発生している為,
ウインカーリレーが不具合を発生させていた場合はセットで交換されることが望ましいといえます。
車体側の配線はメーンハーネスに直接つながっていて途中で抜き取ることができない為,
新品のカプラ及び配線を使用する場合は途中で接続する為に配線を加工する必要があります。
この事例では新品の配線がギボシ加工されていることから,車体側の配線もギボシ加工を行いました。
ギボシには半田を溶かし込み,カシメ部分及び銅線を確実に連結する必要があります。
しかしその手間を考えても,単にリレーのみを交換して車体側の端子を再使用するのではなく,
可能な限り両方合わせて新品にしておくことが求められます。
車両法では方向指示器の点滅は1分間に60回~120回と定められており,
公道を走行する場合は法に従い,確実に周囲の交通にライダーの意思が表示される必要があります。
その為にもやはり右左折といった基本的な動作に必要なウインカー廻りの整備は,
可能な限り確実に行われることが望ましいといえます。 |
|