事例:D‐35
【整備車両】
RG500EW-2W (HM31A) RG500Γ(ガンマ) 2型 年式:1987年 参考走行距離:約14,800km |
【点検結果】
この車両はお客様のご依頼により継続検査(車検)及び定期点検を承ったものです.
点検時に番号灯(ナンバー灯)が点灯していないことを確認しました.
図1.1は内部を確認するためにカバーを取り外した番号灯の様子です.
全体的にほこりをかぶっていることから長期間バルブが交換されていないことが推測でき,
バルブまでの配線やスイッチの不具合よりもバルブ本体の不良の可能性が考えられます.
図1.2 フィラメントが変形し全体的に黒ずんでいる電球部 |
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図1.2は取り外したバルブ内部の様子です.
フィラメントは断線していないものの大きく変形していてガラス球も全体的にススが付着しているように黒ずんでいました.
電源電圧が確認できたことから,これらが不具合の原因であると断定することができます. |
【整備内容】
番号灯のレンズには歪みや変形 ※1 が発生していないことから清掃して再使用し,バルブを新品に交換しました.
図2.1は新品のバルブG18,5-12V/18Wの内部の様子です.
新品のバルブ内部は図のようにガラスは透明でフィラメントがきちんと形成されていることが分かります.
図2.2は新品のバルブをソケットに取り付け,清掃したレンズを取り付けた番号灯の様子です.
レンズを装着する前にバルブを取り付けた段階で正確に点灯することを確認しています.
図2.3は正しく点灯している番号灯の様子です.
作動に問題がないことを確認して整備を完了しました. |
【考察】
今回の事例では継続検査(車検)のための定期点検により番号灯が点灯していないという不具合を確認しました.
法律でいえば番号灯は〔夜間その後方20mの距離から自動車登録番号標の数字等の表示を確認できること〕,
とされているためこの状態では保安基準を満たしていないことになります.
したがって,その不具合を改善してから継続検査を受けました.
番号灯は車両後方にあるため,ブレーキランプの不点灯に並んで不具合に気づきづらい部位であるといえます.
それゆえ継続検査前の定期点検等では確実に見ておくことが必要であり,
場合によっては球切れしていなくても,使用状況を踏まえて事前に予防的整備として交換しておいても損はないといえます.
例えば番号灯が不点灯になっていることに気づかず,夜間取り締まりで検挙されることがあれば,
それはおそらく不本意でしょうし,面白くありません.
しかし取り締まる方からすれば,それが故意であろうと,単なる球切れであろうと事情など全く関係ないのです.
番号灯が不点灯である事実のみに基づくため,故意に消すことによる犯罪を含んだ誤解を生む原因になり兼ねません.
やはり無意味なことに時間を費やさないため,そして保安基準を順守するためにも,
定期的な番号灯の点検整備は欠かせないといえるでしょう.
番号灯の不点灯は車両法による保安基準不適合すなわち整備不良だけでなく,
番号標表示義務違反という道路交通法違反の点からも,十分に指摘される恐れがあることを忘れてはならないのです.
※1 “バルブの異常発熱による番号灯の変形について”
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