トップページ故障や不具合の修理事例【二輪自動車】 電装関係の故障、不具合、定期点検、一般修理の事例 (事例:61~70)


事例:D-62

極度に錆びて固着したヘッドライト光軸調整スクリュについて

【整備車両】 
  DJ・1RR (AF19) SE50MSJ (NH-193P)  推定年式:1988年  参考走行距離:約3,000 km
【不具合の状態】 
  ヘッドライト光軸調整ボルトが錆で固着していて光軸調整できない状態でした.
【点検結果】 
 この車両はヘッドライト光軸調整ボルトが錆で固着していて光軸調整できない状態でしたので,メガスピードにて整備を実施しました.

図1.1 錆で固着している光軸調整ボルト
 図1.1は錆で固着している光軸調整ボルトの様子です.原付スクーターはこの部位一か所のみ調整可能なモデルが多いですが,唯一のその一か所が固着している場合,まったくヘッドライトの位置調整ができない為,早急に改善しなければなりません.

図1.2 錆びているヘッドライト側の雌ねじプレート
 図1.2はヘッドライトカウルからヘッドライト本体を取り外した様子です.光軸調整ねじの錆も酷い状態でしたが,それに劣らずヘッドライト側の雌ねじプレートも著しく錆びていました.また黄色の楕円で囲んだ部位はプレートを留めるヘッドライト樹脂部ですが,破損して樹脂で肉盛り修正されていた為,見苦しい状態でした.

図1.3 極度に錆びているヘッドライト光軸調整ボルトおよびプレート
 図1.3はヘッドライトから取り外した光軸調整用のボルト等の様子です.左からプレートをヘッドライトに固定するスクリュ,ヘッドライトとカウルを連結するステー,そしてステーとカウルを接続するワッシャおよびボルトの様子です.すべて極度に錆びて固着している状態でした.特に右端のスクリュは,ワッシャが固着して剥がせない状態でした.また見た目も汚らしく見たものを不快にさせるレベルに陥っていました.


【整備内容】
 光軸調整ボルト等をすべて新品に交換しました.

図2.1 新品の光軸調整ボルト等
 図2.1は新品の光軸調整ボルト等の様子です.左からステーをヘッドライトに取り付けるスクリュ,ヘッドライトとカウルを連結するプレート,そして動き止めの特殊ワッシャ,ステーとカウルを保持するスクリュになります.新品は図の様に非常に美しい状態です.機能としては,特殊ワッシャが分離されていることにより,締め付け時にカウルをこすって傷つけにくいようになっています.

図2.2 ヘッドライトに取り付けられた新品のステー
 図2.2はヘッドライトに取り付けた新品のステー及びスクリュの様子です.ヘッドライトは予備で所有していた修正や補修されていない部品を使用し,そこに新品のステーおよびスクリュを取り付けました.

図2.3 調整可能になったヘッドライト光軸
 図2.3は磨き上げたヘッドライトカウルに新品の光軸調整ワッシャおよびボルトを取り付けた様子です.これにより常に保安基準に適合させる為に光軸を調整することができるようになりました.
 また同時にカウル取り付けナットも新品に交換し,白と銀の美しいコントラストを再生することができました.


【考察】 
 軽量ハイパワーの2スト原付スクーターと言えば,私はまずこのDJ・1RRを挙げます.スペックでの優位性もありますが,そのカウルの形状が個人的に魅力的に感じていることも確かです.しかし1988年から1989年にかけて1年程度しか発売されていない上,年式を考えれば市場にある中古車が錆だらけなのも仕方ないと言え,大半の場合,手入れしなければなりません.
 今回の事例では光軸調整できなくなったヘッドライトについて記載しました.原付スクーターはこの事例の様にライト下側の1か所しか調整できないモデルが少なくありません.したがって,この1か所が固着すれば調整不能に陥り,保安基準に適合できない状態を是正できない場合があります.ですので,例え原付であろうとも,常に調整できる状態を維持しなければなりません.
 幸い新品の部品供給があったため,著しく固着したボルト類はすべて新品にすることができました.またヘッドライトの予備も保管していたことから,樹脂で補修されて見苦しくなっていたヘッドライトとおさらばすることができました.もちろん部品の入手が困難であったりする場合は補修しなければなりませんが,その際には成型しても必ずもとの状態より見た目が汚くなります.したがって,できれば樹脂で補修されていない,そのままの形状の部品を使用したいものです.







Copyright © MEGA-speed. All rights reserved.