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事例:S‐64

全体的に錆の発生しているタンデムステップブラケットについて


【整備車両】

 RG250EW-4W (GJ21B) RG250Γ(ガンマ) 4型  推定年式:1986年  参考走行距離:約3,900km


【不具合の状態】

 タンデムステップ及びサイレンサを保持しているブラケットに錆が発生していました.


【点検結果】

 この車両は乗らずに長期保管されており,今回お客様のご依頼により各部の分解整備を実施しました.

ここでは錆の発生していたタンデムステップ及びサイレンサ保持ブラケットについて記載します.



図1.1 全体的に錆ているブラケット

 図1.1は車体から取り外したタンデムステップとサイレンサを保持するブラケット廻りの様子です.

RG250Γ (GJ21B) のフレームはシートレールも含めてアミニウム合金で製造されている為,

アルミニウム独特の粉吹きや白点という腐食を除くと,大きく見れば“錆”の発生はないといえます.

しかし,タンデムステップとサイレンサを保持するブラケットの材料は鉄系であることから,

年式的にブラケットのみ著しく錆が目立つという車両が少なくありません.

ですが,錆そのものは表面的なものであり,腐りによる折れ等の強度的な問題が発生することはごく希です.

したがって,実用上はこのまま使用しても大きな不具合の生じる可能性は低いといえます.


 今回の整備では,錆の進行を食い止めたいというお客様のご希望により実施したものですが,

分解整備や再塗装を含めて車体を全体的にリフレッシュさせた車両であることから,

このブラケットのみ赤錆を発生させている状態では非常にそれが目立ち,

それがあることにより,たったそれだけで,すべてが台無しになってしまう恐れがあるという外観上の統一という意味でも,

やはり錆の除去と再塗装は必須であるといえます.

特にこの部品は車体に対して占める面積の割合が単体部品としてはかなり大きいことも,

再塗装しなければならない要因のひとつになります.




図1,2 分解されたタンデムステップ廻り

 図1.2はブラケットを塗装する為にタンデムステップを取り外した様子です.

ブラケット本体の塗装のみならず,ステップの状態も十分に点検整備される必要があるといえます.



【整備内容】

 ブラケットを再塗装することから整備を開始しました.



図2.1 再塗装された美しいブラケット

 図2.1はブラケットを再塗装した様子です.

全体に発生していた錆を除去し,純正色で塗装を実施しました.

美しい銀色で統一された色彩は,塗装前の部品と比較すればまるで萎れた花びらが再び潤い満開になった様な,

嬉々とした心を感じずにはいられません.

それ程に部品の再塗装は効果的なのです.



図2.2 車体に取り付けられた再塗装されたブラケット

 図2.2は再塗装されたブラケットにタンデムステップ等を取り付け,車体に組み付けた様子です.

やはり同様に再塗装されたリヤキャリパ,リヤホイール,サイレンサ等ととあいまって,

全体的に車体が美しく蘇っていることが分かります.



【考察】

 車両が古くなってくると,各部に錆や腐食が発生し,外観が非常に見苦しくなってきます.

特に全体的にアルミニウム合金の多用された車体であれば,部分的に使用された鉄の部品の錆が目立ちます.


 今回の事例では,すでにホイールやキャリパ等が塗装されて美しく蘇っていた為,

錆びていたタンデムステップの防錆という目的だけでなく,

再塗装により美しさを取り戻すことも含めて整備が実施されました.

機能的に見れば,部品表面に発生した多少の錆は無視しても問題ないといえますが,

車両を1つの動産として考えた時,そして趣味の一部としてとらえたならば,

やはり外観は可能な限り美しくなければなりません.

したがって,単に整備するだけでなく,その目的を達成する手段として,再塗装は1つの大きな手法であるといえます.





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