事例:S‐48
スタビライザ取り付けボルトのナメとその固着の関連性について |
【整備車両】
GSX250R (GJ72A) GSX-R250 推定年式:1987年 参考走行距離:約18,100km |
【不具合の状態】
スタビライザ固定ボルトがナメた状態でした. |
【点検結果】
お客様からフロントフォークオーバーホール【overhaul】(分解整備・精密検査)や,
ステアリングステムベアリング交換等のご依頼を承り,メガスピードにて整備を行いました.
フロントフェンダを取り外す際にスタビライザ取り付けボルトの頭がナメていることを確認しました.
図1.1はスタビライザに取り付けられている六角ボルトの様子です.
頭がナメテいる為,ボルトの固着の可能性を疑いました.
全4か所のうち著しいナメが1か所,軽いナメが2か所,ナメていないものが1か所ありました.
図1.2は取り外した六角ボルトの頭の様子です.
緩めと締め付けの両方向にナメており,特に緩め方向の変形が著しく,取り外しは困難でしたが,
技術を駆使してどこも傷つけることなく取り外すことに成功しました. |
【整備内容】
すでにボルトは修正不可能なナメ具合に至っている為,新品に交換しました.
図2.1 スタビライザに正確に取り付けられた新品の六角ボルト |
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図2.1はスタビライザに正確に取り付けられた固定ボルトの様子です.
大きく破損していたものを含めて4か所すべて新品に交換し,外観の美しさも追求しました.
図2.2は車体におけるスタビライザ及び新品に交換した六角ボルトの位置を示した様子です.
赤い四角Aで囲んだ部分が該当箇所であり,
試運転により緩むことなく確実に正確に取り付けられていることを確認して整備を完了しました. |
【考察】
左右のフォーク及びフロントフェンダを連結するスタビライザを備えた車両は,
その固定ボルトが著しくナメている場合が少なくありません.
原因は工具の入りづらさや六角特有のナメ易さ等が考えられます.
特にこの部分のボルトは固着している場合が多く,
それが未熟な素人整備によるナメを引き起こす大きな原因のひとつであるといえます.
ナメてしまった結果ボルトが取り外せずに固着したままにされ,
所有者が変わる等して更にそれを取り外そうとしてナメてしまうといった,
まさに人為的な負のスパイラルに陥っている車両は決して珍しくはありません.
ナメている上に固着しているボルトは取り外しが非常に困難になり,
どうにもならなくなってしまった場合に位置的な問題からドリル等の抜き取り工具も使用が難しい為,
その様な状況は極力避けなければなりません.
やはりスタビライザの取り付けボルトは正しいトルクで正確に取り付けられる必要があり,
直接外部から目視できる部分であり美観を損なわない為にも,決してナメてはならない部品であるといえます. |
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