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事例:S-124

不適切な取り付け角度によるスピードメーターケーブルの破損について

【整備車両】 
 RG500EW-W (HM31A) RG500Γ(ガンマ) 1型  年式:1985年  参考走行距離:12,000 km
【不具合の状態】 
 スピードメーターケーブルに角度が付いて取り付けられていました.
【点検結果】 
 この車両はガソリン漏れを解消したいというお客様のご依頼により,メガスピードにて整備を承ったものです.今回は同時に整備したスピードメーターケーブルについて記載します.

図1.1 角度が付いているスピードメーターケーブル
 図1.1 はへの字に折れているスピードメーターケーブルの様子です.フロントフォークのストッパとメーターギヤの突起を合わせると図のような位置まで回転してケーブルに角度が付き折れてしまいます.この車両は足回りがバンディッド400に換装されていますが,その作業をした者あるいはその後にフロントタイヤの脱着をした者がこの様な取り付けを行ってしまったと推測されます.

図1.2 損傷しているワイヤケーブル
 図1.2 は念の為ケーブル内部を点検した様子です.懸念通り,赤色の円で囲んだ部位に亀裂が発生していました.このままでは近い将来不具合を発生させることになります.


【整備内容】
 新品のケーブルに交換し,適切な位相でメーターギヤを取り付けました.

図2.1 新品のスピードメーターケーブル
 図2.1 は新品のスピードメーターケーブルの様子です.新品はしなやかで粘りがあり,少しの屈曲では損傷しませんが,極力角度を付けない様に取り付ける必要があります.

図2.2 折れない様に適切に取り付けられたスピードメーターケーブル
 図2.2 はケーブルに角度が付いて折れない様に,付け根から直線的になる様に取り付けたスピードメーターケーブルの様子です.これによりケーブル内部がスムーズに動くようになっただけでなく,損傷も防止することが可能になりました.
 その後実際に試運転を行い,スピードメーターが正常に動作していることを確認して整備を完了しました.


【考察】 
 この車両は足廻りがバンディッド400に換装されていることや,リヤサスが社外品に交換されていることにより,サイドスタンドを立てた状態では車両の傾斜角度が小さいく不安定になっていました.もちろん換装すれば17インチのタイヤの選択肢が増えますが,換装するということは純正設計のバランスを崩すことになり弊害も発生することを忘れてはなりません.今回の事例におけるスピードメーターケーブルの取り付けの不具合もその一環であり,ギヤをストッパまで合うように合わせると,図1.1 の様にケーブルに角度が付いて損傷します.したがって,そうならない様に位相をずらしてケーブルが付け根からストレートになるよう考えながら取り付ける必要があります.

 スピードメーターケーブルは消耗品です.走行距離に応じて消耗していきますが,それとは別に不適切な取り付けによる破損も少なくありません.したがって,何か違和感を感じた場合は一度取り付けを見直すことが望ましいと言えます.







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