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スピードメーターケーブルの劣化によるホイール側取り付け部の破損について


【整備車両】

VTZ250H (MC15)  1987年式  参考走行距離:約42,500km


【不具合の状態】

スピードメーターケーブルのホイール側取り付け部が破損していました。


【点検結果】

図1はスピードメーターケーブルのギヤに取り付ける部分が破損している様子です。


図1 、破損したメーターケーブル取り付け部廻りの様子

黄色の四角Aのねじの取り付け部が破損し、ねじがめり込んでいることが分かります。




図2、破損したケーブルのねじ取り付け部

図2は破損したねじ取り付け部の様子です。

左側(実際に取り付けた状態では下部)が割れていて、

黄色い四角で囲んだ部分に亀裂が入っているのが確認できます。

メーターケーブルそのものが硬化していたので、ケーブル取り付け部の樹脂部分もかなり劣化していたと考えられます。

その状態でねじのテーパー部分の締め付けによる力に耐え切れずに破損したものだと推測できます。


【整備内容】

図3は新品のスピードメーターケーブル端部のねじ取り付け部分の様子です。


図3、新品のスピードメーターケーブルのねじ取り付け部

新品のケーブルは、手にとると本体そのものが柔軟であるのと同時に、

ねじの取り付け部がしっかりしたものだということが分かります。




図4、新品のメーターケーブル取り付けねじ

図4は新品のメーターケーブル取り付け部のねじの様子です。

接触面はテーパー形状になっています。

これにより、ねじを締め付ければ締め付ける程樹脂側の内径が広がり、その反力で圧着力が増す構造になっています。

しかし、素材が劣化している場合はその力に耐え切れずにこの事例の様に破損する可能性があるので、

状態を把握した上でねじを締め付けなければなりません。




図5、ギヤに取り付けた新品のメーターケーブルとねじ

図5はスピードメーターギヤに取り付けた新品のケーブルとねじの様子です。

メーターの動作を確認し、整備を完了しました。


【考察】

二輪の場合、スピードメーター動力は主にフロントホイールギヤからとるものと、

エンジンやミッション等の動力からとるものの2つに分けることができます。

この事例ではフロントホイールギヤに接続する樹脂部分が破損していました。

破損部を見ると、完全に切断している箇所と亀裂の入っている箇所が確認できました。

これは振動等も影響しているものと考えられますが、

大きな原因は劣化した樹脂がねじの締め付け力に耐え切れずに破損したものだと推測できます。

ケーブルはねじで留められているので、樹脂部がかなり破損しなければ脱落するに至らないといえますが、

やはり、スピードメーターは車両の走行状況を知る最も重要な計器なので、

不具合が発生する前に、損傷等が確認できる場合は早めに整備しておくことが求められます。





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