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事例:S‐15
劣化したホイールリムバルブの亀裂によるチューブタイヤの空気漏れについて

【整備車両】
 VTZ250H (MC15)  1987年式  参考走行距離:約42,500km

【不具合の状態】 
 劣化していたリヤタイヤのホイールリムバルブがちぎれて空気が漏れていました。


【点検結果】
タイヤ交換の際にリムバルブを点検したところ、指でバルブを傾けると、ちぎれた部分から空気が漏れていました。


図1.1 付け根がちぎれているリムバルブ
 図1.1 は劣化して付け根がちぎれていたリムバルブの様子です。外力を加えない状態では空気圧を保持していましたが、指でわずかに傾けると、ちぎれた部分からシューッという音を立ててかなりの勢いで空気が漏れていました。


【整備内容】

図2.1 新品のリムバルブ
 図2.1はバルブシートを清掃し、新品のリムバルブを取り付けた様子です。 新品のタイヤを組み付け、規定圧力で空気漏れがないか確認し、整備を完了しました。


【考察】
 使用されている車両のタイヤは定期的に交換されていますが、ホイールリムバルブは何年も交換されていないものが少なくありません。

図3.1 新品のリムバルブキャップ(左)と劣化、退色した古いリムバルブキャップ
 図3.1 は新品のリムバルブキャップ(左)とこの事例で交換した紫外線等により劣化退色した古いリムバルブキャップの比較です。色あせや退色が著しいものは、取り付けられてからかなりの時間が経っている可能性が高いと判断できます。また図のAの範囲に比べてBの範囲のグリップがかなり擦り減っています。これは指でそれだけキャップを回したことを示しています。空気を入れる際にも、高圧ホースをエアバルブに接続する際には多少なりともゴムに負担がかかります。その繰り返しで疲労が蓄積されていきます。
 中古で購入した場合はキャップが欠損していたり社外品に交換されていたりする場合もあるので、キャップから劣化の状態を読み取るのはあくまで参考程度に過ぎませんが、バルブの状態を知る重要な手がかりであることには変わりありません。

 リムバルブはバルブをコーティング、形成しているものがゴムなので、使用や経年により必ず劣化します。リムバルブそのものは構造が簡単で比較的小さな部品ですが、交換する為にはタイヤをホイールから取り外さなければならず、外部から簡単に作業することはできません。やはりタイヤの交換時期はリムバルブの交換時期と考えて、タイヤ交換の際に合わせて新しいものに交換しておくことが望ましいといえます。





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