事例:S‐65
極度にリプレイス品のラインナップの少ないリヤサスペンションについて(型式:GJ21B) |
【整備車両】
RG250EW-4W (GJ21B) RG250Γ(ガンマ) 4型 推定年式:1986年 参考走行距離:約3,900km |
【不具合の状態】
長期保管状態から実際に走行していない為,走行における不具合は未確認ですが,
経年劣化が十分に予想される状態でした. |
【点検結果】
RG250Γのリヤサスペンションは一般的ないわゆる非分解式というだけでなく,
リヤサスペンションを専門に取り扱っているところでも,
オーバーホールすることができないと言われることが少なくない構造になっています.
そしてV型の様な完全なレプリカモデルというよりは,当時ならまだしも現在では,
その仕様から例えフルフェアリングでもサーキットを走行するベース車両ではないと見られる嫌いがある為,
また人気の度合いから,専用の社外リヤサスペンションのラインナップが無いと言っても過言ではないのが現状です.
しかし発売が1986年頃であることを考えれば,
新車時に装着されたサスペンションの多くはガス抜けやオイル漏れ等のいわゆるヘタリが発生している為,
十分に満足のいくライディングを行うことが難しくなってきています.
今回の事例では公道を走行する前にお客様のご依頼によりサスペンション交換を実施した為,
実際には走行して状態を確認することはできませんでしたが,
性能が極端に低下していることは推測できます.
図1.1 取り外された純正リヤサスペンションASSY |
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図1.1は車体から取り外したリヤサスペンションの様子です.
走行距離は約3,900km程度であることから使用による摩耗等は少ないと推測できるものの,
すでに発売から25年以上経過していることから,
内部のオイルシールを含めて明らかに各部は劣化していると考えることができます.
また通常のロッドに当たる部位は外部から目視確認できない為,実際の摺動部の状態を知ることは難しいといえます. |
【整備内容】
今回の整備では衰損していると考えられる純正サスペンションから,
新品の社外サスペンションに交換する段取りで進めました.
図2.1は新品のサスペンション(ヘイゴン【HAGON】:63036)の様子です.
構造は一般的なサスペンションと同じくショックアブソーバのロッドが見える構造で,
その周囲にスプリングが取り付けられ,上部にプリロードアジャスタが設定されています.
図2.2は車体に取り付けられたHAGON製のリヤサスペンション廻りの様子です.
機能のみならず,外観が非常に美しい為,見る者の目を楽しませます.
また今回の整備車両4型ウォルターウルフのホイールカラーとマッチした色彩は,
車両に跨らずともその一体感を味わえる大切な要素であることを付け加えておきます. |
【考察】
今回使用したリヤサスペンションは,メーカーの日本代理店発行の説明書には,
“非分解式の為オーバーホールに対応していません”と書かれていることから,
少なくとも日本国内ではASSY扱いである為,
機能が衰損した場合や不具合の発生した場合は,丸ごと交換になる可能性があります.
しかしそうだとしても,例えば有名な輸入高級サスペンションを専属代理店工場でオーバーホールする価格と比較すれば,
容易に新品を購入することができるほどリーズナブルであることから,
使い捨て感覚でも十分に投資額に見合った使用効果を得ることができます.
如何せん,RG250Γ (GJ21A,GJ21B) に関しては専用のリプレイス品が極端に少ない為,
HAGONが特注で供給している1ラインナップが存在するだけでも非常にありがたいといえるのは事実です.
すでに2サイクル並列二気筒いわゆるパラレルツインのエンジンを搭載したモデルは過去の遺産となり,
排ガスやコストの面から今後二度と新車では入手することができない車両であるといえ,
現存する車両の所有者であれば,やはりそれに見合った投資が必要であり,
それにより更にライディングが楽しくなり,また美しくなったサスペンション廻りが所有する満足度を引き上げる為,
より一層RG250Γという存在を好きになることでしょう.
その為にもメガスピードでは可能な限り分解整備等のサービスを提供させていただく為に,
常日頃研鑚を積んでまいります. |
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