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事例:S‐46

傷ついたメータレンズと回転計視認性の低下について


【整備車両】

R1‐Z (3XC) 3XC3  推定年式:1993年  参考走行距離:約19,600km


【不具合の状態】

タコメータのレンズに傷があり,アイドリング状態において指針の瞬間的かつ正確な読み取りが難しい状況でした.


【点検結果】

 この車両はお客様からお預かりした中で各所点検整備を承ったものですが,

タコメータレンズのアイドリング回転数表示部に傷があり,

瞬間的に正確にエンジン回転数を読み取りづらい状況になっていた為,その改善を図ったものです.



図1.1 1,000rpmから2,000rpmの範囲に発生している傷

 図1.1はタコメータ低回転の表示部の様子です.

四角い黄色Aで囲んだ部分は約,1,000rpm~2,000rpmの範囲ですが,

メータレンズに傷がある為,表示が読み取りにくくなっていて,

特に1,000rpm~1,200rpmの視認性の低下が著しい状態でした.

またパネルのアルミ部分には特有の粒状の腐食が発生していました.


【整備内容】

 コンビネーションメータ内部そのものは特に異常がない為再使用し,

傷や腐食の発生していたメータレンズを交換する運びになりました.



図2.1 新品のメータレンズ及びパネルASSY

 図2.1は新品のメータレンズ及びパネルASSYの様子です.

メータレンズのみの部品供給はない為,ASSYの交換になりますが,

経年や使用によるパネルの腐食やインジケータのくすみ,

スピードメータの傷等を含めて考慮すれば,むしろASSYで交換した方が良いといえます.






図2.2 車体に取り付けられた新品のメータパネルに交換されたメータASSY

 図2.2はメータパネルを交換したコンビネーションメータを車体に取り付けた様子です.

昼夜を含めタコメータはすべての回転数が瞬時に把握できるようになったと同時に,

スピードメータや各種インジケータ,水温計の視認性も新車に非常に近い状態を取り戻し,

機能のみならず,腐食していたパネルの美しさも楽しむことができるようになりました.


【考察】

 R1‐Z (3XC) の標準指定アイドリング回転数が1,400rpmであるとすれば,

いっけんそれ以下のエンジン回転数の表示は不要であるかのように思えますが,

エンジン始動直後の回転の不安定な状態等においては,実際はかなり重要であることを実感することが少なくありません.

今回の事例では的を絞ればメータレンズのみ交換したいところでした.

しかし部品設定がASSYのみでしかないことや,

発売が1993年頃であることを考慮すれば,絶版でないだけでも良かったといえ,

パネル全体を交換することにより見た目が新車のそれに近い状態にリフレッシュされる効果を評価すれば,

むしろASSYで部品交換できる状況は“ありがたい”と捉えなければならないでしょう.



 バイクの中で運転中に一番目にするのがスピードメータを含めた計器類と,

ニュートラルスイッチを始めとするインジケータです.

通常走行では自身の進路や周囲の交通を見るか,計器類を見るかの2点に大別されるといえ,

メータパネルが美しくなると,運転する時の快適性はもとより,所有することの満足感にもつながります.

それ程メータパネルあるいはメータそのもの,メータの周囲環境がライダーに及ぼす影響は大きいものであるといえます.

やはり新品の部品供給がある場合は,少なくとも発売から10年以上経過している車両に関しては,

リフレッシュを兼ねて交換することにより,見た目以上に運転時にその効果が得られるといえます.





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