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事例:S‐60

ハブダンパの亀裂の発生及び圧縮変形による駆動系のロスについて


【整備車両】

 K125S (コレダ S10)  推定年式:1995~2000年  参考走行距離:約23,100km


【不具合の状態】

 リヤスプロケットハブダンパに亀裂が発生していると同時に圧縮されてガタつきが大きくなっていました.


【点検結果】

 この車両はメガスピードにて各所整備を実施したものですが,今回は劣化したハブダンパについて記載します。



図1.1 亀裂が発生し,圧縮されているリヤハブダンパ

 図1.1は亀裂が発生していると同時に,駆動方向及び制動方向の両方向に圧縮が見られるハブダンパラバーの様子です.

ゴム材質そのものが劣化している上,使用により変形してダンパ機能が低下していることが分かります.

その結果,ハブ取り付け部が広がったことにより,ハブとのすき間が生じ,動力伝達ロスが起きていました.


【整備内容】

 ハブダンパはゴム製品であることから経年や使用により必ず劣化衰損します.

今回の事例でもいわゆる“へたり”が発生していた為,4か所すべて新品に交換しました.



図2.1 新品のハブダンパを取り付けられたリヤホイールハウジング

 図2.1は新品のハブダンパをハウジングに取り付けた様子です.

これによりハブ取り付け部のガタが緩和され,駆動時にも制動時にも,タイムラグ及びロスが減少し,

フィーリングのダイレクト感を取り戻すことができました.



図2.2 整備の完了したリヤ側駆動系

 図2.2は点検整備の完了したリヤ廻り駆動部の様子です.

著しく伸びていたチェーンや摩耗したスプロケット等も同時に新品に交換することにより,フリクションロスを極力減らしました.


【考察】

 ハブダンパが使用により潰れると,そのすき間の分ハブとのガタが発生し,

エンジン側から駆動される時と,ブレーキ制動時の両方向でわずかなタイムラグ及びロスが発生します.

部品の材質がゴムであることから,車両を使用しなくても経年により収縮や亀裂が発生します.

また使用する,すなわち走行距離が伸びれば伸びる程,ゴムが圧縮されてすき間が増大し,

動力の伝達時間にロスが発生する為フィーリングの悪化につながります.

やはりハブダンパはゴム部品である以上,使用した距離と年数を考慮して早めに交換することが,

楽しいバイクライフを送れるか否かにつながる重要な部位であるといえます.





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