事例:S‐55
【整備車両】
GSX‐R250CJ (GJ72A) GSX‐R250 推定年式:1988年 参考走行距離:約16,500km |
【不具合の状態】
左側の転倒により生じたフレームの擦り傷に錆が発生している状態でした. |
【点検結果】
この車両はメガスピードにて各所整備のご依頼をいただいたものですが,
左フレームに転倒によると見られる擦り傷があり,そこから錆が発生していました.
図1.1は左側への転倒によると判断されるフレームに生じている擦り傷から,錆が発生している様子です.
フレームそのものに歪み等大きな不具合は見られないものの,
このままの状態では時間とともに錆が成長し,フレームを腐食させていく恐れがあります. |
【整備内容】
フレームの材質は鋼鉄系であり,錆の進行防止及び外観美化の点から,
肉盛形成し,塗装する方針で整備を開始しました.
図2.1は補修塗装を行う為の下地処理のうち,表面の平滑化を行った様子です.
この時点で可能な限り傷によるバリ等を除去しました.
図2.2は下地処理を行った擦り傷に肉盛を行い,フェザーエッジをとった様子です.
錆を除去して塗装対象部位が均一になるまで補修と修正を繰り返しました.
図2.3はフェザーエッジをとった下地を塗装している様子です.
エアブラシを用いることにより,細かな仕上がりを可能にしました.
図2.4は補修塗装の完了したフレームの様子です.非常に美しい仕上がりになっていることが分かります.
傷の部分がこの様に修正されることにより,防錆効果のみならず,
見た目も楽しむことができ,所有する喜びも一層大きなものになりました. |
【考察】
アルミフレームの場合は,アルミそのものの腐食といったものが見られますが,
鉄フレームの場合,傷等により剥き出しになった材質が大気に触れると錆を発生させる為,早急な対処が必要となります.
今回の事例では塗装対象部位が狭いことや,マスキング方法等を考慮し,
エアブラシを使用して補修塗装を行いました.
これにより,錆の進行を停止させるだけでなく,新たな錆を発生させないようにした他,
塗装によりフレームの本来の美しさを引き出すことに成功しました.
二輪は構造上転倒する可能性が排除できず,不本意ながらも車両を倒してしまう可能性が誰にでもあります.
その場合,材質が鋼鉄系であればフレームに歪み等が発生していなくても,傷になった部位は必ず錆が発生します.
錆は放置すれば内部まで浸蝕しやがてフレームそのものを蝕み強度を落とします.
やはりその様な事態を避けるだけでなく,外観の点からも,
修正を行い美しく塗装されることがバイクを長持ちさせる秘訣であるといえます.
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