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事例:S-3

極度に劣化したブレーキフルードがもたらす引きずりについて

【整備車両】 
   FZR250(2KR)  1987年式  〈推定〉走行距離:約900km
【不具合の状態】 
 リヤブレーキに引きずりが発生していました.
【点検結果】 
  リヤブレーキリザーバタンクを開けて点検したところ、ブレーキフルードが食用ソースまたはしょう油かと見間違えるくらいにドス黒く変色していました。

図1.1 極度に劣化したブレーキフルード
 図1.1 は極度に劣化したブレーキフルードの様子です。この状態から、もはやブレーキフルード交換だけでは済まされず、ブレーキ系統一式整備しなければならない可能性が高いと判断しました.


【整備内容】
 リヤキャリパ、マスターシリンダを分解整備した上で、汚れていたリザーバタンクを洗浄し,ブレーキフルードを新品に交換しました.

図2.1 洗浄されたリザーバタンクおよび新品に交換されたブレーキフルード
 図2.1 は整備の完了したリザーバタンク内部の様子です。劣化したブレーキフルードに触れていた部分は腐食していたので、マスターシリンダやキャリパを含め、ブレーキ廻りはすべて分解洗浄・精密検査・組み立てを行いました。


【考察】 
 この車両は約20年間乗らずに屋根のある屋外で保管してあったものだということが分かっていて、ブレーキフルードの変色や状態から考えると、当時の液がそのまま入っていた可能性も否定できません.極度に劣化したブレーキフルードにより、キャリパ内のピストンシールやマスターシリンダピストンカップ等のゴム類が劣化し、ブレーキの引きずりの原因になっていたと考えられます.
 今後の対策としては、ブレーキフルードは2年に一度定期的に交換し、油圧がきちんとかかるか、オイル漏れがないか等、ブレーキ廻りの定期的な点検整備を行うことが望ましいといえます.




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