【考察】
保安基準では速度計の設置は必須であっても,回転計いわゆるタコメーターは任意になっています.したがって,廉価盤や軽自動車ではコストカットや必要条件の考慮等からタコメーターを備えていない仕様のグレードが存在します.
確かにA/T(オートマチックトランスミッション)であれば回転計がなくても,通常走行において問題はないと言っても否定することはできません.しかし実際にはタコメーターが付いていた方がエンジンの状態をモニタリングする上で好ましいと言えます.ましてやM/T(マニュアルトランスミッション)であれば,シフトの際に現在の回転数が表示されている方が適切なドライビングを実施しやすいと言えます.
今回の事例では純正のシグナルを直接利用したため正確な回転信号を受け取ることができました.社外のタコメーターではその取り方によってはノイズ等に悩まされる可能性があることからも,状況が許される場合は純正のシグナルを利用するのが賢明です.
2輪では原付スクーターや単気筒,あるいはアメリカンモデルといった,走りそのものに機敏さを求めないものにはタコメーターが標準で装備されていないものが少なくありません.今回の事例でも対象車両が軽トラックであることから,確かに走りに機敏性を求めるものではないと言えます.しかしターボが付いているモデルであれば,自然吸気のそれとはまったく別の走りが可能ですし,実際に運転してみると,エンジン音と加速度に頼った勘でのシフトより,タコメーターが装着されていた方が遥かに気分良く運転できることが体感できます.したがって,例え自然吸気の軽トラックや低グレードの乗用車,軽自動車であったとしても,タコメーターが付くことによる運転性の向上を考慮すれば,そしてタコメーターが無いことによるフラストレーションがあるとするのなら,今後の人生を豊かに送るためにも適切な位置に適切なタコメーターを取り付けることが不可欠であると結論付けられます.
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