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事例:E-216

再使用されたオイルチェックバルブのニップルについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500km
【不具合の状態】 
 1番,3番シリンダの燃焼不良により加速状態が悪化している状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードで不具合の整備を承る直前に他店で整備されたものですが,SIPCホースが最後まで取り付けられていなかったり ※1 ,各部に不具合が見られた為,それぞれについて整備し直しました.ここでは再使用されたオイルチェックバルブニップルについて記載します.

図1.1 再使用されているオイルチェックバルブニップル部
 図1.1は4番キャブレータのオイルチェックバルブニップル部周囲の様子です.キャブレータボデーが汚れていたり燃料パイプ外壁にカスが溜まっている ※2 のが分かります.しかし問題なのはオイルチェックバルブのニップル部が再使用されていることです.内部は他店で除去されていた為ストレート構造になっていましたが,ニップルが再使用されていることにより,通常より抜けやすい状態になっていました.また材質も脆くなっていたことから,ニップルを再使用することは可能な限り避けなければなりません.なぜならば,ニップル部はオイルホース脱着の際にかなりの力が加わる為,抜けにくく折れにくい構造でなければならないからです.


【整備内容】
 
再使用されていたオイルチェックバルブニップルを抜き取り,当社供給製品の新品のオーバーサイズのオイルチェックバルブニップルを圧入し直しました.

図2.1 ニップルの取りはずされたオイルチェックバルブ部
 図2.1は再使用されていたニップルをもう一度除去し,内部を洗浄した様子です.同時にキャブレータボデーも可能な範囲で洗浄研磨しました.



図2.2 オーバーサイズの新品のニップル
 図2.2は当社で供給しているオーバーサイズの新品のニップルの様子です.これによりニップル部に金属的粘り強さが戻ると同時に,圧入部は確実にボデー側に保持されることが可能です.

図2.3 新品のオーバーサイズのニップルの取り付けられた4番キャブレータ
 図2.3は清掃洗浄を完了し,美しく磨きあげたキャブレータボデーに,新品のオーバーサイズのニップルを圧入した様子です.これによりニップル部の強度が回復し,アルミニウム合金と真鍮の輝きを取り戻すことができました.


【考察】 
 確かに部品がなければ,抜き取ったオイルチェックバルブニップルを再使用せざるを得ないかもしれません.しかしメガスピードでは独自に開発した新品のオーバーサイズのオイルチェックバルブニップルを使用することにより,経年劣化による材質の脆さや,一度抜き取ったものを再使用することにより圧入が緩くなることを防止します.オイルチェックバルブに関しては,キャブレータ内部にオイルが流入してしまう事例 ※3 が多々あることからも,確実に点検整備しておくことが求められる部位であると言えます.


※1 差し込みの不適切なSIPCホースについて
※2
 キャブレータボデー外観の洗浄研磨について
※3 オイルチェックバルブの衰損により短期間で2サイクルオイルで満たされたフロートチャンバについて





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