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事例:E-208

締め付け不良によるフロートチャンバドレンボルトからのガソリン漏れについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1987年  参考走行距離:約23,500km
【不具合の状態】 
 フロートチャンバのドレンボルトからガソリンが漏れ出している状態でした.
【点検結果】 
 この車両はメガスピードで不具合の整備を承る直前に他店で整備されたものですが,SIPCホースが最後まで取り付けられていなかったり ※1 スロットルストップスクリュのOリングの取り付け箇所が不適切だったり
※2 ,各部に不具合が見られた為,それぞれについて整備し直しました.ここではフロートチャンバドレンボルトから漏れ出しているガソリンについて記載します.

図1.1 ドレンボルトから漏れ出しているガソリン
 図1.1は2番シリンダキャブレータのフロートチャンバ下部の様子です.黒色の楕円で囲んだ部分がガソリンを排出するドレンボルトですが,そこを発生源としてガソリンが漏れ出していることが分かります.部品そのものに不具合は見られませんでしたが,本来漏れてはならない場所から漏れている為,結果論として締め付け不良が発生していたと考えられます.このままでは車両火災の原因になり兼ねない為,その対策を実施しました.


【整備内容】
 
フロートチャンバドレンボルト及びガスケット,ボルトを新品に交換し,漏れ防止策を施しました.

図2.1 漏れの解消したドレンボルト
 図2.1はキャブレータ整備完了後に25km程試運転した後の2番シリンダキャブレータフロートチャンバ下部の様子です.ドレンボルトからの漏れが解消していることが分かります.


【考察】 
 ドレンボルトの漏れの修理は最も難しい箇所の1つであると言えるのは,ガスケット本体のボルトとフロートチャンバとの接触面が1mm程度の円でしかない為,密着面積が少ない上にフロートチャンバの雌ねじ部の肉厚が薄い為トルクをかけると容易に亀裂が入ることによります.したがって,きちんと締め付けたつもりでも,実際には締め付け不良が発生している車両が少なくありません.
 今回の事例では,シート部を洗浄して可能な限り平滑にし,更に独自の漏れ止めの対策を実施した為,ガソリン漏れを解消することができました.可燃性の危険物であるガソリンの“漏れ”は可能な限り防止することが求められると言えます.


※1 差し込みの不適切なSIPCホースについて
※2 
スロットルストップスクリュのOリングがエアスクリュに誤使用された影響について





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