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事例:D‐39

サーモセンサ配線被覆の破損と短絡の危険性について


【整備車両】

 RG250EW (GJ21A) RG250Γ(ガンマ) 1型  推定年式:1983年  (参考)走行距離:約9,200km


【不具合の状態】

 サーモセンサ配線被覆が損傷していました.


【点検結果】

 この車両はお客様のご依頼により,吹け上がりの引っ掛かるエンジン回転数が存在する ※1 ということで,

メガスピードにて各部の点検整備を承ったものです.

今回はその中で気づいて修復したサーモセンサの配線について記載します.

この事例でとりあげる内容は,今まで修理してきた並列2気筒の250Γ (GJ21A/21B) にはほとんどすべてと言って良いほど,

共通して発生している不具合になります.



図1.1 被覆の破損しているサーモセンサへの配線

 図1.1はサーモセンサにつながる配線の保護被覆がほつれている様子です.

この部位はハーネスからセンサまで保護被覆が巻かれていて,擦れ等から守る役目を果たしています.

しかし図の様に多くの場合において繊維がほつれて脱落しています.

またセンサの絶縁ゴムも千切れていることが分かります.



図1.2 保護被覆の破損しているハーネス側の配線

 図1.2はメインハーネスからギボシまでの配線の保護被覆がほつれている様子です.

センサ側と同様に擦れ等で破損したと考えられます.

ギボシ部そのものも,変色していて内部の端子がきちんと接続されているかどうかは外側から確認しづらく,

不正確な整備の原因になる状態でした.



図1.3 保護被覆の破損しているハーネス側の配線

 図1.3はハーネスからセンサ側までの配線のギボシ部までの様子です.

保護被覆がほつれている他に,ギボシの絶縁被覆が経年により茶褐色になっていて内部の様子が分からない状態でした.



図1.4 損傷しているセンサ側の配線

 図1.4はギボシからセンサ側の配線の様子です.

保護被覆はもはや残っている部分の方が少なくなっている状態でした.

赤丸で囲んだ部分は被覆が溶け内部が露出していました.



図1.5 内部の露出している配線

 図1.5は図1.4の赤丸で囲んだ部分の保護被覆の下側を点検した様子です.

なんと保護されているはずの被覆が,保護被覆の残っていた部位に限ってゴムが熔損し,

内部の金属線が剥き出しになっている状態でした(青丸で囲んだ部分).

この回路は常に電圧がかかっていることから,

万が一車体やエンジンに触れれば短絡し,火花が飛ぶため車両火災に至る危険性があります.


【整備内容】

 メインハーネス側の配線は比較的状態が良かったので,ほつれた布製の保護被覆に代わって,

ビニール製の絶縁体で保護し直しました.

またセンサ側の配線は,すでに絶版であることから,端子部を含めてすべて新規に制作しました.



図2.1 保護被覆で絶縁されたハーネス側の配線

 図2.1はほつれていた保護被覆を強化する為,更に被覆を絶縁し,劣化していたギボシ部を新品に交換した様子です.

これにより,ハーネス側の擦れによる短絡等の危険性を未然に防ぐことが可能になりました.

ギボシの端子が新品になったことにより保持性能が回復しただけでなく,

見た目の美しさもさることながら,絶縁防護被覆が透明になったことにより,

ギボシの接続状態が確認できるようになり安全性が向上しました.




図2.2 新規に制作したセンサ側の端子および配線

 図2.2はセンサ側の配線をすべて新品で製作したものです.

センサに取り付ける端子,その絶縁,新品の配線およびギボシ部で構成されています.

これで短絡等の心配から解放されることになりました.



図2.3 センサに取り付けられた配線

 図2.3はサーモセンサに,ハーネス側に接続した新規に制作された配線を取り付けた様子です.

センサは車両外側に位置する為,防護策を一層強化してコルゲートチューブで保護しました.

常識的な使用において配線が損傷して短絡するおそれがなくなりました.

またセンサを覆う防護ゴムは純正では絶版でしたが,別途取り寄せた商品を流用しました.

見た目も非常にさっぱりとした美しい仕上がりになっていることが分かります.

試運転において実際に水温計が問題なく動いていることを確認して整備を完了しました.


【考察】

 多くのRG250Γについて,サーモセンサの配線被覆が損傷していることが少なくありません.

年式を考えれば相応の傷みが発生していても不思議ではなく,

少なくともメガスピードにて整備を承った多くの車両については,かなりの割合でこの部分が破損していました.

そして問題なのは,サーモセンサが故障して現在の水温が分からなくなることより,

配線が短絡してスパークが発生することです.

特にキャブレータや燃料タンクといったガソリンを扱う部品が近くにあることから,

車両火災を防ぐためにも火の気は絶対に避けなければなりません.

それには配線がしっかりと絶縁されていることが前提になります.


 やはり古い車両は配線がめくれたり溶けたり,あるいは千切れかけたりしていることが少なくないため,

特にその症状が発生しやすい部位すなわち引っ張られたり擦れやすい箇所に関しては,

十二分に点検し対策を施しておくことが求められます.





※1 吹け上がりの引っ掛かりと空燃比の狂いについて






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