【仕事がり屋】 |
木の椅子に腰かけて食べ終えた器を洗っていると、横から4歳が膝の上にのってきました。このところ良くこんな風にして夕飯の皿洗いを手伝おうとしてきます。 「お父ちゃんは仕事がりやだなぁ」 茶碗の泡を流していると、4歳はちょっと困った顔で、でも笑いながらそんなことを言ってきました。 「仕事がりや!?」 「そうだよ。仕事ばっかりやってるんだから。」 「ははは、仕事がりやかぁ。」 最近は裏のガラス戸から仕事場に入り込んできて、他愛もない話で興味をひこうと必死です。そのたびに半田付けしていた部品を置き、「お父ちゃん今仕事してるんだから邪魔するんじゃない。お家に入ってなさい!」と追い払うのです。 「仕事がりやか・・・」 4歳の頭を優しく撫でて、そっと膝から降ろしました。 「そうだよぉ。お父ちゃん次いつ休みにするの?」 ここ半年はほとんど休まず、毎日10時間、CDI等の開発・製造に優先して時間を費やしてきました。子どもらは少し寂しかったのかもしれません。 皿洗いを終えて、久しぶりに4歳たちとボール投げをして遊びました。そしてまた、後ろ髪を引かれる思いをしながら仕事場に戻りました。別れ際、4歳がこんなことを言いました。 「お父ちゃん、ご飯買えるように仕事頑張ってね!」 「はいよ。頑張るよ。おやすみ。」 再びパソコンの電源を入れ、立ち上がるまでの間、目を閉じて気持ちを集中させました。開発しているYPVSコントロールユニットのプログラムの続きを書くために。 |
Copyright © Kenta Kuniyoshi All rights reserved |