トップページ代表の個人的なページ随筆【essey】


【初めての肩たたき】


ちょっとお父さんの肩たたいてくれる?
 昼ご飯を食べ終えて、黄色いはとバスのおもちゃで遊んでいた一番下の4歳児に
頼んでみました。今まで肩たたきなど頼んだことがなかったのに、何だかふとやってもらいたくなりました。
「いいよ。でもどうやってやるのかなぁ。」
「いいからやってみな、ほら、普通に肩を叩けばいいんだよ。」
 このところ、先に発売したRG500/400Γ用のデジタルCDI製造時にハンダ付けのやり過ぎで少し肩がおかしくなっていました。
お父ちゃんこう?」
うん、いいよ。上手上手。」
 少しほめると4歳は嬉しそうにリズムに乗ってトントン叩き始めました。私は気分よく目をつぶってあぐらをかいていました。
「じゃぁそのまま首までやってくれる?」
うんわかった。」
 返事をするや否や次の瞬間、のどぼとけに激痛が走りました。何事かと目を開けると、4歳が目の前で小さなコブシを振り上げて、ノドをめがけて次の一撃を用意していました。
「ちょ、ちょっと待って! 首ってこっちだよ。」
 慌てて後頭部の下に手を当てました。
「なんだぁそっちかぁ。」
 そっちかぁ。って・・・
 4歳は屈託のない笑顔を見せながら後ろに回り、私の「首」を叩き始めました。
まさか首と言ってノドを叩いてくるとは・・・ 怒ってばかりのコロナの中、「首」を叩かれながら久しぶりに笑いました。

 大人になりある程度年齢を重ねると、色々な事を経験して、物事を自分の固定観念でしか見られなくなってきます。何かあると、子どもらの言い分も、大人の視点で見てしまいがちです。そうなってしまっていた自分を、少しだけ少年に戻してくれた気がしました。





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