【祈り】 |
あれから7年が過ぎようとしていました。私はそろそろかな、と思い、足回りを外していたゼファーの整備を止めました。さっきまではしゃいでいた子どもらに、お祈りしようと言おうと思ったからです。 工場を出て油汚れの黒い手を洗ってから、ベランダ越にリビングに入りました。すると、すでに子どもらが目をつぶって手を合わせていました。「ほら、もう46分だよ。」と、そばにいた妻が言いました。 それからしばらくの間、誰も口を開くことなく、ただ静かに祈り続けました。 ただ静かに、祈り続けていました。 今年もまた、もうすぐその時がやってこようとしています。 |
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