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事例:4D-3

リモコン内臓ボタン電池のわずかな電圧降下によるキーレスエントリーの動作不良について

【整備車両】 
 プレマシー (CP8W)  年式:2008年  参考走行距離:約148,000 km
【不具合の状態】 
 キーレスエントリーのリモコンのレスポンスがかなり悪くなっている状態でした.
【点検結果】 
 この車両はキーレスエントリーのリモコンのレスポンスが悪化した上,3m程度車両から離れると反応しない状態でした.これでは使い物にならない為,メガスピードにて整備を実施しました.

図1.1 リモコン内部から取り出したボタン電池
 図1.1 はリモコンを分解して内部からボタン電池を取り出した様子です.レスポンスの悪化や遠距離からの操作不能の不具合はほとんどが電池の電圧低下によるものなので,まず電池を点検するところから整備を開始しました.

図1.2 取り外したボタン電池の電圧測定
 図1.2 は取り外したボタン電池の電圧を測定している様子です.約3,07V程度あることが分かりました.3Vの電池ですから一見3,07Vあれば3V以上で問題ないと思えますが,そこには罠が仕掛けれられていました.


【整備内容】
 新品の電池に交換して結果を見ることにしました.

図2.1 新品のボタン電池 CR 2025
 図2.1 は新品のボタン電池 CR 2025 の様子です.国内メーカーでも生産が海外ということは良くありますが,これも例により,Made in indonesia と記載されていました.しかしいつどこで誰が作ろうが,中身がしっかりしていれば何も問題ないことです.

図2.2 新品のボタン電池CR2025の電圧測定
 図2.2 は新品の3VとされるCR 2025ボタン電池の電圧を測定した様子です.図の様に新品は約3,2Vあります.結果的にこの電池に交換して不具合が改善された為,わずか0.15Vの電圧降下でキーレスエントリーとしては使い物にならないということを示しています.

図2.3 リモコンに取り付けられたボタン電池
 図2.3 はリモコンにボタン電池を取り付けた様子です.同時に汚れていたケース内部を清掃しました.また赤色の楕円で囲んだ部位に汚れがこびりついていることから,その除去も実施しました.

図2.4 整備の完了したリモコンおよびキー
 図2.4 は整備の完了したリモコンとキーの様子です.使用により文字が薄れていますが,リモコン全体を清掃・艶出しするのと同時にキー本体も溝に詰まっていたゴミを除去してクリーンな状態にしました.

図2.5 ロックを解除したときの点滅
 図2.5 はロックを解除したときにウインカーが点滅した様子です.ある程度離れた距離から正確に施錠・解錠できることを確認して整備を完了しました.


【考察】 
 この車両のキーレスエントリーのリモコンは,ドアロックのON,OFFのリモコン操作は可能なものの,数回ボタンを押さないと反応しなかったり,少し離れるとレスポンスが極端に悪化する状態でした.そして結果的に考えると,それはわずか0.15V程度の電圧降下によるものでした.3.066Vに低下した電池を3.21Vの新品に交換しただけで,かなり離れた位置からもレスポンス良くキーをON,OFFできるようになったことから,電池の実用部分はほんの上澄みだけの様な印象を受けます.もちろんこの型のボタン電池を何百個も実験したわけではないので安易に一般化はできませんが,概して電池とはその様なものであることが少なくありません.

 これはボタン電池に限ったことではなく,身近な例では自動車バッテリが当てはまります.12V(厳密に言えば13.2V)のバッテリが10.5Vまで低下すればエンジン始動において使い物にならないのと同じことです.電圧で言えば残り約80%もあるではないか!と思いますが,それでは仕事できないのが電池の類です.どうもヨーグルトがカップの底まで変わらず美味しくいただけるのに対し,電池の美味しいところは,いわばカキ氷のシロップだけの様な印象があります.シロップを先に食べてしまうと,あとは白い氷だけ・・・(今のお洒落なお店はドバっとシロップをかけるのかもしれませんが,子供の頃の80年代など,お祭りでカキ氷を頼めば小さなスプーンでちょろっと垂らすくらいのものでした。ですので山のてっぺんに少し色が付くだけなので,すぐにシロップはなくなってしまうのです.滅茶苦茶な時代だったなぁ。カキ氷じゃなくてただの氷だよ,とは良く言ったものです。)

 話を戻しますと,例えば買い物袋で両手がふさがっていたり,子どもを抱っこしていて手が使えない場合など,キーレスエントリーは非常に便利です.したがって,少しでも動作のレスポンスや距離にストレスを感じた場合は電池を新品に交換することが求められ,わずかな投資で大きな快適性が得られることは確かです





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