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事例:T-1

墜落によるメインプロペラ下段の折損について

【整備車両】 

 ナノファルコンαリアルブルー  推定年式:2015年  推定飛行時間:3分程度

【不具合の状態】 

 墜落によりプロペラが破損しました.

【点検結果】 
 この機体は急上昇,部屋の天井に激突,急降下,地面との接触によりプロペラが破損したものです.その様子を私も一緒に見ていたので,残骸を回収してメガスピードにて修理を実施しました.修理の流れや機体のスペックはギャラリーナノファルコンαリアルブルーをご覧下さい.

図1.1 墜落した機体から取り外した折損したプロペラ
 図1.1は墜落した機体を引き上げて整備工場に持ち込み,修理の為プロペラを外した様子です.墜落が発生した状況は幼稚園児の機長が急上昇させて天井にぶつかり,制御を失った機体が床に真っ逆さまに落下したものです.おそらく打ち所が悪かったために下側のプロペラがたまたま折れたのだと考えられます.その前には私が操縦していましたが,その際にも何度も墜落させていたので,いつ私が羽を折っていたとしても全く不思議ではなかったということです.
 対象年齢は6歳以上と明記されていますが,不思議なものを見て目を輝かせる子どもらに,例え結果は予想できたとしても,やりたいと言われればやらせてあげたくなるのものです.

【整備内容】 
 威厳を示すべく早速工場に運び込み,メーカーから補修部品を取り寄せました.

図2.1 新品の上下プロペラセット
 図2.1は入荷した新品の上下プロペラの様子です.破損したのは下側のみですが,上下セットなので,ついでに上も新品に交換しました.というのも,下側のプロペラを交換するには上側を外す必要があり,新品に交換しても工程は変わらないからです.

図2.2 一円硬貨とヘリ,プロペラのスクリュおよびワッシャの大きさ比較
 図2.2は修理した機体の大きさが相対的に比較できるよう一円硬貨を並べた様子です.非常にコンパクトです.しかしそれ以上に構成部品やその部品を取り付けるスクリュ,ワッシャが小さいので,間違えてもクシャミなどしてはなりません.

図2.3 約11〔g〕という驚異の軽さを示す機体
 図2.3は実際に機体の重量を測定した様子です.驚くべきことにグラム単位でカタログスペックの11〔g〕と同じ数値(測定誤差を考慮しても)を示していました.11〔g〕という軽さで空飛ぶヘリを作り上げたメーカーの技術には脱帽せざるを得ません.逆に言えば,これくらい軽くしないと電池では重力に反して飛行することが難しいことを示していると捉えることもできます.

図2.4 指で軽くつまんだ機体
 図2.4は大人の人体との大きさ比較の為,私がヘリをつまみ上げた様子です.まるで震えるトンボを捕まえたときの様な感じがしました.非常に小さく・軽く・“可愛らしい”ヘリです.

図2.5 夜間飛行するヘリ
 図2.5は室内を飛んでいるヘリの様子です.操縦しながら写真撮影したので中々良いカットを得ることができませんでしたが,その中でも比較的ボケずに撮れたひとコマになります.画像左側にあるのがエアコンで,右側のぼんやりした光源はLEDシーリングライトです.最初は5秒ももたずに墜落させていましたが,仕事後に夜間飛行訓練を繰り返し,今では操縦しながら手のひらに着陸させる程度にまで腕が上がりました.
 その後子どもらに部屋で充電している機体を発見され,「もう修理終わったの?」と聞かれてしまいました.でもいまだに「もう少し充電しないと飛べないよ」と言って,まだ飛べないことにしています.やっぱり操縦はもうちょっと大きくなってからかな.でも夜間訓練でうまく飛ばせるようになった姿も見てもらいたいな.

【考察】 
 実際に運行されているジャンボジェットや救命用のヘリコプターでも,空を飛んでいる限り墜落する可能性を排除できません.今回の事例ではラジコンヘリの墜落について記載しましたが,改めて重力加速度の大きさに驚かされます.

 メーカーから補修部品としてメインのプロペラと補助のプロペラの2種類が供給されていることを考えると,墜落してプロペラが破損するのは想定済みで,ある程度仕方ないと考えられていると推測されます.なるほど私も飛行訓練を積む間に何十回も墜落させていますが,うまく操縦できるようになるまではやはり時間がかかります.特に飛行条件は屋内の無風が前提なので,わずかな気流があると機体が不安定になります.ストーブを付けているとその対流でも丸ごともっていかれる程です.慣れてくるとダメージの少ない墜落方法が分かってきたりするので,やはり要は練習だと言えます.
 問題点を挙げるのであれば,補給部品のコストです.プロペラを2回修理したら,購入ルートによっては本体が買える価格になるので,丸ごと買い換えるか修理するか迷うところです.それを考慮しても,数千円程度で手軽にラジコンヘリが楽しめるなんて,すごい時代になったものです.機体の小型化・軽量化もさることながら,エネルギー密度の高いリチウムイオンポリマー電池が開発されたことが商品実現の大きなきっかけになったであろうことは想像に難くありません.





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