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オーバーヒートと海水の腐蝕によるオイルパンの穴あきの関連性について 


【整備エンジン】

BF5A(BADS)BF5A2  船外機  推定年式:2006年  参考エンジン稼働時間:不明


【不具合の状態】

エンジンがオーバーヒート気味でした。


【点検結果】

通常使用でオーバーヒートの傾向があるということでメガスピードにて整備のご依頼を承ったものですが、

状況からオーバーホール【overhaul】(分解整備、精密検査)が必要であると判断して進行しました。

エンジンを分解する為にパワーユニットを取り外したところ、

パワーユニットとロワユニットとの接合面に塩分やゴミ、ほこり等がオイルパンの形状を不明にするほど堆積していました。



図1は汚れの堆積しているオイルパンの様子です。


図1、堆積物で汚れたオイルパンの裏側

へこみになっている箇所に著しくゴミが堆積していることが分かります。

これらの堆積物を除去した結果、へこみの側面に穴があいていることを確認しました。



図2は側面に穴のあいているオイルパンの様子です。


図2、穴のあいたオイルパン外側

穴の周囲の肉厚もほとんど0mmに近く、わずかな力を加えれば際限なく穴が拡大する状態でした。



図3はオイルパン内側から穴を見た様子です。


図3、穴のあいたオイルパン内側

穴の周囲に目立つ傷や応力等のかかった痕跡が見られないことから、

海水によりアルミ合金が腐蝕した結果、肉厚が薄くなり穴があいたものであると判断しました。


【整備内容】

オイルパンの穴の状態から周囲の肉が減ってしまっている為に修復しても耐久性に問題があると判断し、

オイルパンをASSY(アセンブリ)で新品に交換しました。



図4、新品のオイルパン

図4は新品のオイルパンの内側の様子です。

新品の状態では穴のあいていた個所を含め全体的に肉厚が数ミリあることが分かります。




図5、パワーユニットに取り付けられた新品のオイルパン

図5はパワーユニットに取り付けられたオイルパンの様子です。

腐蝕して穴があいてしまったものと比較すると、ロワユニットとの接合面の肉がしっかりしていることが分かります。


【考察】

このエンジンはオーバーヒート気味であるということで整備を承ったものですが、

エンジンを分解した結果、冷却通路が塩の塊でほとんど塞がっている部分が数か所ありました。

つまり、冷却通路に水が流れにくくなった結果、

エンジンの発熱量を水で十分に奪い去ることができずにオーバーヒート気味になったと考えられます。

メガスピードで分解した際にはすでにサーモスタットが取り外されていたので、

おそらく過去に作業した人に少しでも水を多く流したいという意図があったと推測できます。

しかし、いくら応急処置的にサーモスタットを外しても細くなった通路がそのままである限り、

水量が足りずにエンジンは冷却不良でオーバーヒート気味になります。

したがってエンジン内部に塩を堆積させない為にも、

船外機を海水で使用した場合はエンジン内部の冷却通路を可能な限り速やかに真水で洗浄する必要があります。



またこの事例ではオイルパンの穴あきを取り上げていますが、

原因はオーバーヒートと同様に海水であったといえます。

オイルパンのみならず、エキゾーストも腐蝕していて壁の肉がほとんどなくなるくらいに薄くなっていました。

海水はアルミ合金を腐蝕させます。

通常の使用での腐蝕の範囲を超え、塩分とゴミがかなりの量オイルパン底部に堆積していたことから、

海水による腐蝕により肉が減り穴があいたと考えられます。

穴の箇所は油圧のかかる部分ではありませんが、オイル漏れの可能性は十分に考えられます。

塩やゴミ等が数ミリの厚みで穴の周囲を覆っていた為、それが漏れ防止剤の役割を果たしていたと推測できます。

やはりエンジンそのものを長持ちさせる為にも、使用後はメンテナンスをかかさず大切に保管されることが必要です。





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