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ウォータポンプカバーの塗装の剥がれと腐食について


【整備車両】

RG250EW (GJ21A) RG250Γ(ガンマ) Ⅰ型  推定年式:1983年  参考走行距離:18,600km


【不具合の状態】

ウォータポンプカバーの塗装が剥がれ,その部分が腐食していました.

また取り付けボルトも錆びて褐色になっていました.


【点検結果】

この車両は個人売買で入手されたお客様から各所整備のご依頼を承ったものですが,

クラッチカバーからのオイル漏れを修理
する際にウォータポンプも取り外す為,

合わせてボロボロに剥がれていた表面を塗装し直しました.



図1はウォータポンプカバーとラジエータホース取り付け口の様子です.

図1 ボルトが錆び塗装が剥がれ表面の腐食したウォータポンプカバー

1983年頃の発売車両であることを考えれば,この様に塗装が剥がれてしまっていてもおかしくはありません.

材料はアルミニウム合金なので錆のおそれはありませんが,

特有の腐食をこれ以上進めない為にも塗装し直すことになりました.

またドレンボルトをはじめウォータポンプやクラッチカバーの取り付けボルトは錆で褐色になっていた為,

同時に新品に交換しました.


【整備内容】

塗装の剥がれている部分は容易に塗膜が剥がれるものの,

その他の部分を除去する為にサンドブラスト処理を行いました.


図2 サンドブラストにより作られた下地

図2はブラスト処理を行ったウォータポンプカバーとラジエータホース取り付け口の様子です.

古い塗膜を除去するとともに,新しい塗料の為の下地をつくりました.





図3 塗装されたウォータポンプカバー

図3は塗装されたウォータポンプカバーとラジエータホース取り付け口の様子です.

新しい塗膜により見た目の美しさを確保するとともに,アルミニウム合金の腐食を防ぐ効果が得られました.



図4 取り付けボルトを新品に交換し再塗装されたウォータポンプカバー

図4はクラッチカバーのオイル漏れ修理を中心としたクラッチ廻り,メカニカルシールの交換を含めた水廻りの整備を完了し,

再塗装したウォータポンプをエンジンに取り付けた様子です.

取り付けボルトやラジエータホース,クランプ等も新品に交換した為,

図1に比べて全体的にブラックとシルバーのツートンで美しく仕上げられていることが分かります.

またエンジン廻りに付着していたオイル汚れを洗浄したので,エンジンそのものがさっぱりしました.


【考察】

塗装の大きな役割は,被塗装物の表面の保護と美観を保つことです.

今回の事例では1983年頃に発売されたエンジン部品なので,使用や経年により塗膜が剥がれ,

アルミニウム合金の表面が腐食していました.

クラッチカバーのオイル漏れを修理する為にウォータポンプカバーも外す為,合わせて塗装する運びになりました.

取り付けボルトも発売当時のものであると推測され,熱や振動で疲労していることや錆びて褐色になっていた為,

同時に新品に交換することにより,見た目の美しさとボルトそのものの性能の回復を図りました.

ウォータポンプは再塗装されたことにより外観の美しさを取り戻し,表面の腐食を防ぐ効果を得ることができました.

やはり剥がれや腐食の著しい箇所を整備する場合には,

それと同時に塗装しておくことが部品を長持ちさせる秘訣であるだけでなく,

美しくなった外観により所有者がより一層車両を大切にするという相乗効果をもたらすことも,

見逃してはならない重要な要素であるといえます.





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