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オイルフィルタに堆積した固形物によるオイル供給量の低減について


【整備車両】

NCZ50B (AB12) モトコンポ  推定年式:1981年  標準で車両にオドメータを搭載していない為,走行距離は不明


【不具合の状態】

オイルホースからオイルの流量が少ない状態でした.


【点検結果】

この車両は長期保管により不動の状態であり,再生のご依頼を承りメガスピードに入庫されました.

2サイクルエンジンの要であるオイル廻りの点検をすると,オイルタンクからのオイルの流量が少ない状態でした.

その為オイルタンクを点検すると,オイルの流出口に取り付けられているオイルフィルタに,

2サイクルエンジンオイル及び何らかの条件でそれに混ざったゴミ等が固形化して貼りついていました.

図1 オイルフィルタ付け根に堆積した固形物

図1はオイルフィルタに堆積した固形物の様子です.

フィルタの半周程度を塞ぎ,さらにその他でも部分的に固形物が付着していました.




図2 固形物の堆積しているオイルフィルタ

図2は取り外したオイルフィルタの様子です.

付け根に固着していた大きな固形物を除去してもなお,

各所に変質化した2サイクルエンジンオイルの塊と見られる物質が貼り付きオイルの通路を塞いでいました.


【整備内容】

すでにオイルフィルタが絶版になっていたので,取り外したフィルタを点検洗浄し,再使用する方向で整備を進めました.

図3 洗浄したオイルフィルタ

図3は点検洗浄したオイルフィルタの様子です.

目立つ網の破損や割れ,劣化等がない為,問題ないと判断して再使用しました.


【考察】

この車両は個人売買で入手されたお客様がメガスピードに点検整備をご依頼されたものです.

先方が“キャブレータに直接ガソリンを入れて始動を確認した”ということで購入されたものですが,

オイル系統を何も見ていないでエンジンを無理やり始動させるようなことは可能な限り避けるべきです.

そしてその様な始動確認がされた為に,実際にはオイル系統が不具合を起こしていて,

エンジン内部を傷つけられてしまった車両が少なくないことも,

目をつぶることのできない憂慮すべき状況であるといえます.

当該車両がメガスピードに入庫された時点では不動だったので,実際に始動したのかどうかは分かりません.

大切なのは
2サイクルエンジンにとってオイル系統は最重要機関であるということです.

この事例ではオイルフィルタに劣化した2サイクルエンジンオイル等が固形化した物質が付着していた為に,

点検した段階ではオイルの供給量が減少していました.

すなわちお客様が購入された先方の話が本当であるとすれば,

オイルの供給量が少ない状態でエンジンを始動してしまったということです.

これはエンジンがかかるかどうかという価値判断よりも,

はるかに大きなマイナスに影響する要素を含んだ行為であるといえます.



この車両の経緯については,もしこの状態で乗っていたのであれば,

オイルの供給量から焼き付いていた可能性が少なくないといえます.

しかし実際にはエンジンは焼き付いておらず且つ圧縮圧力の測定値も整備書通りあるので,

オイル不足による焼き付きは発生していないと考えられます.

また乗っていれば走行に応じて消耗する2サイクルエンジンオイルの入れ替えが頻繁にある為,

オイルがここまで劣化,変質,固形化することはないと判断できます.

したがって,それらを総合的に判断すると,この車両は長期的に乗らない状態で保管されていて,

オイルフィルタに堆積したオイルの固形物はその間に発生したものであると考えられます.



重要なのは,過去の素性が分からない不動車を再生させる場合,4サイクルエンジンも当然のことながら,

特に2サイクルエンジンを再稼働させる際には,

必ずその前にオイル系統を包括的に点検整備しておく必要があるということです.

メガスピードでは燃料系統を点検する際には必ず同時にオイル廻り一式を点検整備します.

それをやることにより焼き付きを回避するだけでなく,キャブレータを正しくセッティングすることが可能になります.

もしこの事例で,エンジンの圧縮があり,火花が飛んでいて,燃料系統を整備してエンジンがかかるようになったとしても,

オイルがこの状態では即座に焼き付きにつながる危険性があり,

仮にそれが原因でエンジンを破損させてしまっては本末転倒になってしまうといえます.

やはりオイル系統の整備一式は重要であり,

特に長期間保管された不動車等を再稼働させる際には必ず最初に見ておく必要があるといえます.





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