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事例:E-276

社外マフラーを外さないと交換できないエンジンオイルフィルターについて

【整備車両】 
 ZEPHYR (ゼファー) (ZR400C) ZR400-C4  年式:1992年  参考走行距離:約16,000 km
【不具合の状態】 
 エンジンオイルフィルターが汚れていた他,マフラーを外さないとフィルターが取れない状態でした.
【点検結果】 
 この車両はお客様より継続検査(車検)のご依頼を承り,その際にメガスピードにて法定定期点検を実施したものです.他店で2年前に2年の車検付きで購入された経緯があるので,ちょうど24か月点検の頃合いでした.メーター内部の照明バルブの球切れが発生して ※1 いたりしましたが,今回の事例ではエンジンオイルフィルターについて記載します.

 2年前に他店で中古車購入と同時に車検を受けたということですが,エアフィルターさえ未整備だった ※2 ことを考えると,オイルフィルターも点検されていない可能性があります.なぜならこのオイルフィルターはマフラーを外さないと点検できない状態になっており,エアフィルターを見るよりもはるかに大変だからです.

図1.1 周囲に油汚れが見られるオイルフィルターカバー
 図1.1 はオイルフィルターの取り付けられているカバーの様子です.周囲には油汚れが見られました.若干漏れている油に泥が付着した印象です.カバーのすぐ下には社外のマフラーが取り付けられており,これを外さないとフィルターが交換できない状態でした.

図1.2 汚れているオイルフィルター
 図1.2 は社外のマフラーを外してから取り外したオイルフィルターの様子です.内部にヘドロの様なオイルが溜まっていた他,エレメントも黒く汚れていました.

図1.3 汚れているオイルフィルターハウジングとカバー
 図1.3 はオイルフィルターのハウジングやカバーの様子です.特に画像左上のハウジング (housing) はヘドロで真っ黒になっていました.性能云々以前にこの状態はかなり気分が悪い為,早急に点検・洗浄作業を開始しました.


【整備内容】
 オイルフィルターおよびOリングを新品に交換し,その他の構成部品を点検洗浄しました.また社外マフラーはお客様のご希望により別の社外マフラーに交換しました.

図2.1 清掃洗浄されたケース内部
 図2.1 はケース内部を清掃洗浄した様子です.ハウジングやカバーは本来この様に銀色ですので,取り外したものがいかに汚れていたかを知ることができます.

図2.2 組み立てられた新品のオイルフィルタ
 図2.2 は新品のオイルフィルターをハウジングに取り付け,カバーに新品のOリングでボルトとリリーフバルブのASSYを取り付けた様子です.もちろん部品が綺麗になり気分も落ち着いただけでなく,正常にオイルを濾過してくれることが期待できます.

図2.3 フィルター取り付け部
 図2.3 はオイルフィルターの取り付け部内部の様子です.ハウジング同様にヘドロの様なオイルが溜まっていたので可能な限り洗浄しました.

図2.4 エンジンに取り付けられたオイルフィルター
 図2.4 はエンジンにオイルフィルターを取り付けた様子です.油と泥で汚染されていましたが,それらを洗浄することによりサッパリした印象になりました.そして次にマフラーの取り付け作業に移行しました.

図2.5 エンジンに取り付けられた社外マフラー
 図2.5 は別の社外マフラーを取り付けた様子です.お客様のご依頼,お持ち込みにより取り付けました.またフランジはキジマ (KIJIMA) のフランジセットですが,赤色の四角で囲んだ部位Aがすでに取り付けられていたアクティブ (ACTIVE) のエンジンガードに接触する為,1番と4番の2か所を削り加工を施しました.


【考察】
 純正のマフラーはエンジンや車体の設計と同時につくられたものですから,機能や整備性等,多角的に考慮されています.したがってオイルフィルターについても,それとの空間を開けたり取り回しに配慮して,マフラーを外さなくても交換できるようになっています.と言うより,むしろ定期的にメンテナンスしなければならないフィルターを交換する為に,その都度マフラーを外さなければならないという状態が異常であると認識しなければなりません(FZR250R-3LN1の様に純正マフラーでもオイルフィルター交換の際には外さなければならない,という例外も存在します).

 社外マフラーも様々なものがありますが,レース等の限られた環境での一発勝負,その後のオーバーホールといった流れを想定した商品であれば,オイルフィルターが外せないような取り回しでも許されるでしょう.しかし一般の使用者が公道を走行する場合,少なくともエンジンオイルとともに走行距離や期間に応じて必ず定期的に交換しなければならないのがオイルフィルターです.必ずやってくるメンテナンスの際に毎回マフラーを脱着しなければならないのは,少なくとも私の観点ではあまり利口な製品ではないという立場をとります.単気筒ならまだしも4気筒ですからマフラー脱着もひと仕事です.逆に言えばこの様な事態に陥るのは大抵4気筒エンジンです.そのコストを覚悟しても尚その社外マフラーにこだわるのであれば,もちろんそれはそれで良いと思います.しかし,絶対にそれでなければダメ!というのでなければ,どうしても社外マフラーにしたい場合は,オイルフィルターが交換できる取り回しに設計されたものを強くお勧めします.



※1 スピードメーター照明バルブの球切れ修理に使用したLEDライトについて
※2 車検整備の際に発見した極度に劣化したエアフィルタについて





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