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事例:E-198

クッションの劣化によるリザーバタンクのガタつきについて

【整備車両】 
 RG400EW-2W (HK31A) RG400Γ(ガンマ) 2型  年式:1988年  参考走行距離:約58,000km
【不具合の状態】 
 リザーバタンクが通常よりぐらつく状態でした.
【点検結果】 
 この車両はエンジンの始動が不能になったということで,お客様のご依頼によりメガスピードで修理を承ったものです.結果的にオイルチェックバルブの衰損
※1 が原因でしたが,ここでは同時に承った水廻りの整備一式を実施した際に発見したリザーバタンク取り付けの不具合について記載します.


図1.1 衰損して千切れているダンパラバー
 図1.1はリザーバタンクを取り外した際に確認した衰損したマウントラバーの様子です.
リザーバタンクはゴム類を介してフレームにマウントされている場合が多く,この車両の場合も同様で,経年劣化と見られる亀裂が発生していました.これが原因でリザーバタンクの設置にガタが発生していたと推測されます.


【整備内容】
 
 発売が1980年代中盤から後半ということを考慮して,破損していたゴムマウントを含め,スペーサ,ワッシャ,ボルトをすべて新品に交換しました. 
図2.1 新品のダンパ構成部品
 図2.1はダンパを構成する新品の部品の様子です.左からそれぞれダンパラバー,スペーサ,ワッシャ,スクリュになります.

図2.2 リザーバタンクに取り付けられた新品のダンパ
 図2.2はリザーバタンクに取り付けたマウント部の様子です.これにより無駄な動きをなくすことができ,特に2サイクルエンジンという振動の多い車両に対しても有効にタンクを設置保持できるようになりました.

図2.3 フレームにマウントされたリザーバタンク
 図2.3はフレームにリザーバタンクを設置した様子です.同時に古くなっていたウォータホースや錆びていたそのクリップも新品に交換し,水廻りがリフレッシュされたという安心感のもとでRG400Γという稀有なバイクを,余裕を持って楽しむことができるようになりました.


【考察】 
 リザーバタンクはフレームの内側とフェンダーの間,あるいは同等の取り外しにくい位置にあることが多い為,新車から一度も内部を洗浄されないまま数十年経過している車両が少なくありません.その場合,取り付けがダンパを介しているモデルでは必ずと言って良いほどゴムが千切れてグズグズになっています.

 今回の事例も同様で,亀裂が入って動きやすくなった分ガタが発生していました.一度ガタが発生すれば動きの大きくなったタンクにより保持部に力が加わり,加速度的にゴムが破損していくという悪循環が発生します.したがって,年式を考え水廻りを包括的に整備する場合は,リザーバタンク内部の洗浄はもちろんのこと,ラジエータキャップからタンクまでのホースやクリップ,そしてタンク本体のマウントも新品にしておくことが,低年式の車両を長持ちさせる秘訣であると言えます.


※1 オイルチェックバルブの衰損により短期間で2サイクルオイルで満たされたフロートチャンバについて





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