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クラッチワイヤの取り付け不良による操作時の違和感について


【整備車両】

ZX400-D2 (ZX400D) GPZ400R  年式1984年  参考走行距離:16,400km


【不具合の状態】

クラッチレバーを握った時の感覚に違和感がありました.


【点検結果】

この車両は他店で購入された直後に,オーバーヒートその他の不具合が発生し,

すべて直すべくメガスピードにて入庫され,同時に法定定期点検を承ったものです.

クラッチの握り具合に違和感を覚え,点検すると取り付けが不適切であることが分かりました.

図1 クラッチワイヤの不適切な取り付け

図1はクラッチワイヤのエンジン側の固定部分の様子です.

ナットの使用が誤っており,ブーツがねじ部に挟みこまれている状態でした.

この状態では矢印Aの方向にケーブル外側を引っ張ればそっくり全体が動いてしまい,

完全に固定されていない為にガタつきが発生します.


【整備内容】

誤った取り付けをされている古いクラッチワイヤを正規の取り付けにする整備費用や経年及び劣化を考慮し,

新品のクラッチワイヤに交換する運びになりました.

図2 正しく取り付けられたクラッチワイヤ

図2は正しい取り付けが行われたクラッチワイヤの様子です.

左右から自由になっているねじ溝部保持ブラケットを挟み込み,調整後に固定して整備を完了しました.


【考察】

この事例ではクラッチワイヤエンジン側の取り付けが不適切で操作に違和感がありました.

ナットが2つ近接して設置されていた場合,なぜ2つ使用されているかを考えなければなりません.

主軸が自由に運動できる状態で,それを左右から固定するのか,ダブルナットで機能を果たすのか.

ブラケットにねじ溝がない場合は軸が運動できる為,両側からナットで固定される設計のものが多く,

ねじ溝が加工されている場合は,軸そのもののねじで位置を調整し,

もう一つのナットが緩み止めをする場合が少なくありません.

この車両では主軸は自由に動ける状態である為,両側からナットで締めないと軸を固定できない様になっています.

したがって,図1のダブルナットは全く意味をなさず,

そのことに留意するまでもなく,ブーツがねじ溝に挟まれている時点で異常に気付かなければなりません.

当該車両は他店で購入されたものなので,そこの業者が整備したのか,

あるいは他店の仕入れ前に素人が整備したのか分かりませんが,

クラッチワイヤのエンジン側取り付け部は車両によってブラケットの機能が違う為,

整備の際は機能を考え適切な方法で進める必要があるといえます.





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